【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

使用済み核燃料輸送検査データ 実用容器でも改ざん
六ケ所村搬入、知事が拒否表明


原子力発電所の使用済み核燃料を輸送する容器の検査データ改ざん問題で、試験容器のデータ改ざんだけでなく、実際に輸送に使う実用容器についてもデータが改ざんされていたことが9日、分かった。原電工事(本社・東京)の塚田浩司社長らが同夜、科学技術庁で会見し、明らかにした。

国内の原発から出た使用済み燃料の青森県六ケ所村への初搬入が今月2日に行われ、27日には2度目の輸送が予定されていたが、同夜会見した木村守男知事は調査のめどがつくまで拒否することを表明した。

輸送容器の製造は、輸送を行う原燃輸送(本社・東京)から原電工事に発注され、同社が国内5社に製造させた。ところが、各社が製作した容器が仕様通り作られているかどうか調べる試験容器の検査で、放射線遮へい材料のデータが改ざんされていたことが7日に判明。科学技術庁が8日から、両社などを立ち入り調査しており、この過程で、新たな改ざんが発覚した。


遮へい材はレジンと呼ばれる合成樹脂に、放射線を防ぐ効果のあるホウ素や水素を混ぜて作られる。実用容器に使われたレジンのうちの一部に、ホウ素や水素濃度が規定値より低いものがあった。しかし、このデータが正常であったように改ざんされて製造に回されていた。実用容器は計52基作られたが、どの容器に不適切な材料が使われたかについては、調査を行っているという。


西尾漠・原子力資料情報室共同代表の話 「今になって発表するということは、これまで隠していたのか知らなかったのか。いずれにせよ、原子力関係の分野でこうした事実隠しが頻発しており、これまで安全だと説明していた根拠があやふやになり、信用できなくなってしまう」

(読売新聞 1998/10/10)