【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

原電の子会社 製品試験データ改ざん
使用済み核燃料運搬容器遮へい材


原発から出る使用済み核燃料の運搬容器(キャスク)に使われる中性子遮へい材を製造している「原電工事」(本社東京)が、製品試験データを改ざんしていたことが7日、中日新聞の調べで分かった。原電工事はこの事実を認め同日、科学技術庁で会見し、経緯を説明した。中性子遮へい材はキャスク内部に充てんされ、使用済み核燃料から出る中性子などを吸収し、外部に漏れるのを防ぐ。
原電工事の遮へい材を使ったキャスクは全部で40基製造され、うち16基が改ざんされたデータを基に作られた。2日、東京電力福島第2原子力発電所から青森県の日本原燃(本社青森市)六ケ所村再処理工場に使用済み核燃料を運搬する際に使われたキャスクもこのうちの2基だった。その際の測定でば容器外部の放射線量は、基準値以下だったという。
原電工事によると、1996年3月ごろ、実物と同じ工程で作られた試験用キャスクの遮へい材からサンプルを採取し、成分分析を日本油脂(本社東京)に依頼。この際、いずれも成分中のホウ素濃度が社内で定めた基準値よりも低いことが分かった。
このため、原電工事の担当課長(43)が「基準値より上でないと発注元の意向に添えない」として日本油脂に対し実際よりも約10%高い数値とするようデータ改ざんを示唆、基準に合う分析結果報告書を出させた。日本油脂では「ホウ素濃度が変化しても機能に影響しない、と担当課長から説明を受けた」としている。
中日新聞が入手した手書きの報告書は「データがあまり好ましいものではありませんが、ご検討ください」と注意書きがあり、当初の測定数字を斜線で消して重き換えられている。この後、基準値を上回る数字を記入した分析結果報告が作られている。
原電工事は原電の全額出資の子会社。国内メーカーに対してキャスク遮へい材を独占的に納入している。
科技庁は「改ざんされたデータは、キャスク承認には直接関係ないが、他のデータの信頼性にも疑問がある」として、輸送に使われるすべてのキャスクについて、遮へい材のデータを再確認するよう指示した。

(中日新聞 1998/10/08)