【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
科技庁幹部『動燃とは裏で連携』『世論の手前、非難』
会議でなれ合い発言
今年3月に起きた茨城県東海村の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)束海事業所の火災・爆発事故の10日後、科学技術庁と動燃が開いた動燃の組織問題に関する会議で、科技庁幹部が「今は世論を考えて動燃を非難せざるを得ないが、今後もお互いに連携して組織改革を進めたい」と発言していたことが29日、内部文書で明らかになった。
一連の対応が、あくまで両者の“協調関係のシナリオ”に沿って進められていたことを示している。
文書によると、会議は3月21日午後4時半ごろから約1時間、科技庁内で開かれた。科技庁の政策課長ら4人、動燃の企画部次長ら4人が出席し、動燃の組織改革に対する科技庁の考え方が伝えられた。
会議で政策課長は「事故で原子力開発推進の根幹が揺らいでいる。今は動燃だけが悪者になっているが、今後、科技庁まで非難されだしたら収拾がつかない」と発言。
「科技庁も当面、動燃を非難せざるを得ないだろうが、裏では動燃と連携した形での組織改革を進めたい。今は厳しいだろうが、耐えていただきたい」と述べるなど、事故後も両者の“なれ合い”の関係が続いていたことを裏付ける内容になっている。
さらに同課長は「動燃の組織改革は落とし所を考えてやる必要がある。原子力開発に影警を及ぼさない形にしたい」とした上で、「できるだけ素人受けする形がよい」と指摘。
日本原子力研究所(原研)との統合などではなく、動燃単独の改革で済ませる意向を示し、本社機能移転の可能性を示唆したという。
科技庁は4月、動燃改革検討委員会を設けたが、わずか6回の討議で終了。8月の最終報告では動燃解体や統合は見送られ、動燃の新法人への移行と東海村への本社移転などで決着した。核燃料サイクル事業は新法人に引き継がれるなど、科技庁が推進する原子力政策の根幹には踏み込まず、「不徹底な改革」との指摘も出ていた。
科技庁は虚偽報告事件で動燃を刑事告発したものの、組織改革の面では3月の会議で示した方針の範囲内で落ち着いた。当初から、科技庁への責任波及や、原子力政策の大幅な見直しを避ける意向が強く働いていたとみられる。
(中日新聞 1997/11/30)