【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

動燃事故 プルトニウムも外部漏出 検出量ごく微量

動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所(茨城県東海村)で11日起きた再処理工場爆発事故で、プルトニウムなど人体に有害なアルファ線を出す超ウラン元素が放出されていたことが14日までに、分かった。検出量は微量だが、建物の3階まで噴き上げられ、外部にも漏れていた。
爆発のあったアスファルト固化処理施設3階で、動燃が12日に床をぬぐって測定したところ、2カ所でアルファ線を検出した。放射能レベルは1平方センチ当たり0.028ベクレルで、立ち入り禁止区域を設定する基準値1平方センチ当たり4ベクレルを大きく下回っている。
また、14日公表された排気筒の放射線検出器データでも、爆発後、アルファ線を放出するチリをとらえており、割れたガラス窓か、または排気筒を通じて、外部にプルトニウムなどが漏れたことは確実だ
アルファ線はヘリウム原子核と同じもので、破壊力が強く、呼吸などで体内に取り込むと、がんを起こす恐れがある。半面、ベータ線やガンマ線と比べて粒子が大きいので、紙1枚で遮ることができる。核分裂によって放射されるアルファ線は空気中を数センチ飛ぶだけ。爆発の規模が大きかったために、爆風で超ウラン元素が1階から3階まで10メートルも噴き上げられたとみている。
また、同じ排気筒のベータ線検出器では爆発の直後から放射線レベルが急上昇し、30分足らずの間に約100倍になっていた。
動燃は、放射性ヨウ素の外部への放出量は210万ベクレルとしているが、超ウラン元素をはじめとする他の放射性物質の放出量は「把握していない」という。
再処理工場で処理する使用済み燃料には、プルトニウムなど超ウラン元素が含まれており、低レベル廃棄物の中にも除去し切れなかったものが少量含まれている。こうした元素が周囲にまき散らされたらしい。超ウラン元素は放射能の半減期が1000年、1万年単位と長く、処理が難しい。


<プルトニウム> 放射性元素の1つ。自然界には存在せず、原子炉の使用済み核燃料を再処理して取り出す。核燃料に使われるプルトニウム239は半減期が約2万4000年で、人体に取り込まれると、放射線障害を起こしやすく、きわめて危険だとされている。ウランよりも原子核中の陽子の数が多い元素を総称して超ウラン元素という。すべて人工の放射性元素で、プルトニウムやアメリシウムなどがある。

(中日新聞 1997/03/15)