【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
米スリーマイル島の原発事故 がん患者が多発
大量の放射能漏れか 大学が報告
【ワシントン24日時事】米史上最悪の放射能漏れ事故となった1979年3月の東部ペンシルベニア州スリーマイル島原子力発電所事故で、原発の風下にいた住民のその後のがん発生率が極めて高く、これまで考えられていた以上の放射能漏れがあったとする調査報告が、24日発行の米環境保健科学研究所機関誌・環境保健展望に掲載された。
同事故をめぐっては、コロンビア大学が90年に「放射能流出の人的影響は軽微」と結論付けたが、ノースカロライナ大学のスティーブン・ウィング助教授らのチームが実施した調査分析によると、事故から18年を経て原発の風下にいた住民の肺がんや白血病の羅患(りかん)率は風上の住民より2-10倍高いという。
同助教授らは「原発周辺のがん患者多発や動植物の生態異変、住民の染色体破壊などの事実はすべて、流出した放射能値がこれまでの推計よりはるかに高かったことを示している」と指摘。従来推定されていた放射能量では、住民全体にがん患者が増加した理由は説明できないとしている。同誌は、「調査に新事実はなく、一方的な解釈」と批判するコロンビア大学専門家の反論も併せて掲載した。
(中日新聞 1997/02/25)