【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

もんじゅ事故再現実験で水素検出
コンクリートと反応か 想定外、安全に疑問

動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が実施した高速増殖原型炉もんじゅの事故再現実験で床の鉄板に穴があいた問題で、漏れたナトリウムが床下のコンクリートと反応して発生したとみられる水素が検出されていたことが28日までの調べで分かった。
ナトリウムがコンクリートに触れると水素が発生、濃度が一定以上になるなどの条件が重なれば爆発を起こす恐れがあることが知られているため、もんじゅでは仮に漏えいがあってもコンクリートに直接触れないことが安全確保の大前提だった。
鉄板の穴も想定外とされていたが、さらに水素の検出で、動燃などが主張する多重防護の前提が崩れたことになり、安全審査の在り方が根本から見直しを迫られそうだ。
実験では開始から3時間30分後に床下の温度が測れなくなっていることから、開始約3時間20分後にナトリウムや酸素と反応して鉄板に穴があき、床下のコンクリート上に高温のナトリウムが入り込んで温度計が壊れたとみられる。
実験後、水素検出器のデータを調べたところ、穴があいたのとほぼ同時刻に、実験施設内の水素濃度が0.17%と、直前の0.04%から急に上がったことが分かった。
動燃は、穴から漏れたナトリウムがコンクリートと触れ、反応を起こしたのではないかとしているが、床下部分では水素がさらに高い濃度になっていた可能性もあるという。
また、鉄板には大小6つの穴が見つかった。大きいものは縦22センチ、横28センチあり、その周辺には茶褐色の化合物がただれたように付着していた。ナトリウムと酸素、水分、鉄の化合物とみられるが、動燃は民間の研究所に分析を委託、成分の特定を急ぐ。分析には約2カ月かかる見通しだ。実験は今月7日、動燃大洗工学センター(茨城県大洗町)の試験施設で実施した。

(中日新聞 1996/06/29)