【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
「もんじゅ」温度検出器 強度試験 メーカー任せ
動燃『信頼してた』 専門家、安易すぎると批判
高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の温度検出器のさや管が折れた問題で、動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が検出器の強度検査を独自に行わず、メーカーまかせにしていたことが、8日明らかになった。動燃は昭和52年の臨界以来無事故の実験炉「常陽」(茨城県)でも同様構造の検出器を使用していたため、としているが、専門家からは「安易すぎる」との批判も上がっている。
温度検出器は、2種類の金属の電位差を利用して温度を検知する「熱電対」というセンサーをさや管に入れ、配管内のナトリウム温度を計測する。配管内に挿入した検出器は、より正確な温度差を測定するため、先端部を細くしている。
実際に原子炉が動き始めると、温度検出器は配管を覆う保温材などに隠れて直接検査できない。設計や製造段階でのチェックが重要だが、動燃は出来上がった製品を設計通りにできているかなどを確認するだけだったという。
これについて、動燃は「温度計は、18年間ナトリウム漏れを起こしていない『常陽』と同じ技術で作られている。振動は当然考慮されているはず。メーカーを信頼している」と説明。今回のくびれた部分の強度を独自に試験せず、メーカー任せにしていたことを認めた。
しかし、技術評論家の桜井淳氏は「常陽ともんじゅでは、配管の大きさや出力も異なり、経験があるといっても新たな評価をするのが当然」と動燃側の認識の甘さを批判。技術力についても「メーカーをうのみにするのは問題」と指摘している。
「もんじゅ」では温度検出器の損傷などの異常は、ナトリウム漏えい検出器を通して把握する方式だった。
だが結果的に今回のような大規模な漏えい事故に対応できなかった。
「火災に備えるため2次系も窒素で満たす配慮をするなど、基本的な設計の転換が必要」(桜井氏)と、システム自体の見直しが必要との声も上がっている。(中日新聞 1996/01/09)