【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

もんじゅ事故 手順書に重大欠陥
『小規模漏れ』は止めず 動燃認める

福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」で起きたナトリウム漏えい事故で、動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は19日、異常時の運転手順書を公開した。ナトリウム漏えいの初期段階では、火災検知器やナトリウム漏えい検出器が警報を発しても原子炉停止はできず、運転員の主観的判断に頼るしかないという致命的な欠陥があることが明らかになった。動燃によると、手順書では、ナトリウム漏えいが発生しても、ナトリウムの液位に変化が見られない場合、火災検知器やナトリウム検知器が鳴り続けていても、場所を確認するだけで、原子炉を手動で緊急停止するようにはなってない。
今回の漏えい事故の場合、8日午後7時47分に火災警報、その1分後にナトリウム漏れ警報が鳴り、運転員1人が現場の2次冷却系配管室の入り口から中を見て「もやもやとした煙が見える」と微妙な表現で報告した。中央制御室では、ナトリウムの液位に変動がないことから「小規模漏えい」と判断。その時点で、手動による原子炉緊急停止操作には入らなかった。
同8時50分に再び、現場を見て、白煙が充満していたことから「中規模漏えい」と判断を変更。同9時20分、最初の煙確認時から90分も遅れて手動停止させた。
ナトリウムの液位は、最低でも0.5トン前後が漏れないと、計器の目盛りは変化しない。手順書通り手動停止させるには「中規模漏えい」まで漏れが拡大し「白煙」を運転員が確認しない限り、原子炉手動停止はできないことになる。
動燃は「小規模、中規模は結果であり、白煙など徴候によって対応するのが本来の手順書。運転員が誤解しやすく、不備があった」と、手順書の欠陥を認めた。

(中日新聞 1995/12/20)