【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
プルトニウム大量残量 動燃東海の製造工程 IAEAが注意
動力炉・核燃料開発事業団のプルトニウム燃料工場(茨城県東海村)の製造工程の機器に、操業開始から5年半で約70キロという、予想を超える大量のプルトニウムが残留していたことが9日明らかになった。動燃は核拡散防止のうえで直ちに問題とされる行方不明分ではないとしているが、国際原子力機関(IAEA)は、査察の信頼性を揺るがしかねない残留量だとして動燃に注意を促した。
この工場はプルトニウム燃料第3開発室といい、1988年10月に運転を始めた。プルトニウムとウランの各酸化物の粉末から、高速増殖原型炉「もんじゅ」などの燃料棒を製造している。
プルトニウムが残留していたのは、グローブボックスと呼ばれる密閉箱。この中で粉末を混ぜたり固めたりして、燃料棒に詰めるペレットをつくっている。4月に運転を始めた「もんじゅ」の燃料製造で、最近、残留量が増えたのではないかとみられる。
動燃はプルトニウムの受け入れ量と工程から出した量の差から、残留量は約70キロとIAEAに申告。IAEAも査察で残留が同量であることを確認した。
IAEAが問題にするのは、残留量が多いため、査察での計測誤差を考慮すると、核爆弾を製造できる量(有意量)を見過ごす恐れがあるためだ。計測の誤差は10-15%とされており、仮に10%とすれば、残留が70キロにもなると7キロ紛失しても把握できない可能性がある。プルトニウムの有意量は8キロとされている。
動燃は「計測上、行方不明量が出ることはあるが、今回の残留量はそれとは違う」と説明しているが、予想を上回る量だったことから「プルトニウムの回収やグローブボックスの更新で、残留量を減らしたい」としている。
(朝日新聞 1994/05/10)