【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

新生児死亡率 チェルノブイリ事故後に上昇
西独の研究者が論文

【ロンドン3日=竹内(敬)特派員】

86年4月のチェルノブイリ原発事故で放射能汚染を強く受けた西独の南部地域で、事故以降に新生児死亡率が上昇していると、ブレーメン大学物理学部のイエンス・シェール氏ら4人が3日発売の医学専門誌「ランセット」に発表した。
シェール氏らは、西独の生後7日以内の新生児死亡率を、北部、中部、南部の3地域に分けて、1975年から87年まで調査した。
事故以前にはどの地域でも新生児死亡率は順調に下がり続けていた。しかし、事故以降は南部地域でだけ、それまでの下がり方から予想できる死亡率をはっきりと上回っていた。
この南部はバイエルン州とバーデンビュルテンブルク州で、チェルノブイリ事故後10日間のデータによると、放射能雲が上空を通過し、放射性ヨウ素やセシウムなどでとくに大きな汚染を受けた地域にあたる。汚染が比較的軽かった北部と中部では死亡率の変化ははっきりしなかった。


(朝日新聞 1989/11/04)