【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

児童に放射能後遺症 貧血などの症状
チェルノブイリの北50キロの白ロシア


【モスクワ31日=時事】

史上最悪の放射能流出事故を起こしたソ連ウクライナ共和国チェルノブイリ原発の北方50-60キロ圏内にある白ロシア共和国ホイニキ市で、児童の間に貧血やのどの炎症など放射能の影響とみられる症状が広がっていることが、住民の告発で明らかになった。30日付政府機関紙「イズベスチヤ」が同市住民600人の署名した放射能後遺症を訴える手紙を掲載したもの。


それによると、ホイニキ市一帯は「理論的には安全」として避難地域に指定されなかったが、事故から3年余りを経て、数百人の児童が貧血やのどの病気、風邪で苦しみ、各種の炎症を併発しているという。手紙は「われわれは子供たちが日増しに衰弱しているのを見ているが、病気には薬品は医療設備が決定的に不足している」と告発した。


住民は「われわれはもはや新鮮な空気を吸い、森を歩き、水浴するという基本的権利を奪われた」と述べ、「放射能の影響はない」とした当局や学者の予測の誤りを指摘した。住民はさらに、過去3年間にホイニキ地区の党第1書記ら地区幹部や大半の医師が住民を残して同地区を脱出したと非難した。


白ロシア共和国では先月、原発から約300キロ離れたモギリョフ州でも児童の貧血や運動機能障害などの発生が伝えられた。共和国最高会議は新たに10万人以上の住民の疎開を決定したが、これらの地区が避難対象となったかどうかは不明。


(朝日新聞 1989/08/01)