★第365話:忘れる力!? | 中高年の中高年による中高年のための音楽

中高年の中高年による中高年のための音楽

10年続けたYahoo!ブログから移転してきましたが、Amebaのブログライフも4年を越えました。タイトルは当時と同じ「中高年の中高年による中高年のための音楽」です。
主にオールディズが中心の音楽を紹介しています。よろしくお願いいたします。

「老い」の自覚

 基本的に音楽をテーマにしているというのに、拙ブログを検索すると、老い87回老化69回も出て来る。それだけ気になっている証拠だ。 

 ところで、昨年末まで2年間経験した、マンション管理人(清掃人)の勤務先を巡回する仕事を辞めたが、管理人の平均年齢は自分と同じ73歳。100人以上担当した管理人の最高年齢は85歳、80歳以上が15%占めているときもあった。

 当然世代ギャップを感じることもなく、まるで同期会でもやっているようだったし、老化に個人差があることを改めて感じ、人を年齢で判断することの愚かしさを痛感したものだ。

 ところが、自分に関しては老いを自覚することがだんだん増えた。その自覚症状はいくつもあるが、最も心配な一つは「忘れる」ことが多くなったことだ。

 それもあり、もっと軽い仕事をすべく、思い切ってマンション巡回業務を辞め、現在はマンションの清掃業務を中心に働いているが、これに関することについてはまた別の機会に述べることにしたい。

 誰だって思うことだが、出来たらずっと健康でいたい。だが、図のように2019年の資料で日本の男性の健康寿命の平均は72.69歳。自分はすでにその年齢を越えてしまった。


 

認知症の不安

  「忘れる」ことの不安は、すなわち「認知症」に対する不安だ。 

 「認知症」については、父と祖母が認知症だった。は92歳で天寿を全うしたが、亡くなるまで頭はしっかりしていた。さて、自分はどちらのDNAを引き継ぐのだろうか。今の状況からすると、どうやら父方の血を引き継ぐ確率が高いと思う。
 もう7年前の資料だが、朝日新聞be土曜版(2016年1月16日号)に、「自分も認知症になると思う?」という記事があった。アンケートによると、3/4が認知症になる不安を抱えている。

 

老化対策の本

 拙ブログではこれまでいくつも老化対策の本を紹介してきたが、正直に言うと、パッと思い浮かぶとすれば、「あまり先のことを考えてくよくよしないこと」ぐらいだ。

 老化対策に限らずハウツー本はよく買ったが、振り返って見ると、どうやら、持っていれば何となく安心するという、自分にとっては「お守り」のような存在なのかもしれない。

 最近ではこんな本を買って読んだ。

 「60歳からの『忘れる力』」(幻冬舎、2023年、鎌田實、現在74歳、写真)である。

 

忘れる力

 忘れる力といえば、作家・赤瀬川原平(2014年、77歳で没、写真)の「老人力が高まった」という言葉を思い出す。彼が「老人力」を提唱したのは1997年。当時は勇気をもらった感じだったが、まだ若く、47歳の時だった。もうすでに老化に怯えていたのだろうか。

 「60歳からの『忘れる力』」の帯封には「人生の8割は忘れていいこと」とあり、次の9項目が記されている。

「もの忘れ」への恐怖を忘れる…ほとんどは健康なもの忘れ

実年齢を忘れる…マイナス12歳のつもりで生きる

一人のさびしさを忘れる…友だちはいなくてもいい

「夫婦水入らず」を忘れる…心地よい距離感は年齢とともに変わる

「やせなきゃ」の思い込みを忘れる…60歳過ぎたら足は太い方がいい

早食い・ながら食いを忘れる…誤嚥を防ぐ、食べる前の準備運動

「眠らなきゃ」の焦りを忘れる…いい睡眠を得るための6つのポイント*

”名医信仰”を忘れる…病院嫌いのための”良医”の見つけ方

怒りを忘れる…ムカッときたら、「唱える」「離れる」「気をそらす」

*①朝、太陽の光を浴びる ②朝食をしっかりとる ③日中は積極的に運動する ④昼寝は20分以内に ⑤週末の夜更かしは2時間まで ⑥夜は照明を落としてゆったり過ごす

 さらに、巻頭の「はじめに」の一部に

 「人間の「忘れる力」は、時間や価値観、ときには意志というふるいにかけて、ものごとを取捨選択する力です。「忘れる力」を上手に利用すれば、生きるのがうんと楽になり、停滞していたものが動き出します」

 「不安やこだわりを手放す、考えを切り替える、仕切り直す、別の方法を探す、棚上げする、これまでの視点を捨てて新しい視点を持つ、他人や自分の人生を許す、水に流す…みんな同じく「忘れる力」を根っこにしているのです」

 とある。

 

忘れ物、落とし物(遺失物)

 確かに気になっていることが幾つもあり、文章を読んでホッとすることが多い。しかし、これは全て記憶だけにとどまり、物品に影響が及ばないことである。

 重要なルール約束を忘れるのは確かに大問題だが、自分にとって心配なのは、記憶が飛んで、忘れ物落とし物が多いことである。これについては取り返しがつかないことがある。

 マンションの管理人で許されないのは、マスターキー(写真)を失くすことだ。

 最近のマンションはほとんどオートロックになっているので、カギを室内に閉じ込めるいわゆる「インロック」というミスが多いが、その場合は警備会社が出動して対処するので、まだ許される。どこかに落として無くなった場合、悪用される恐れがあるので、カギを全交換しなければならなくなり、場合によっては400万円ぐらい負担が必要になるという、大事件に発展することがある。それが一番怖い。

 ところで、「忘れ物」「落とし物」の違いについて、忘れ物とは自分がはっきりと思い出せる場所に、何か品物を置き忘れてきた状態。それに対して、落とし物は、自分がどこで品物を紛失したか分からない状態なのだという。警察ではその2つを合わせて「遺失物」と呼んでいるようだ。
 本日(3/14)のニュースによると、
「警視庁に昨年、落とし物として届けられた現金は約39億9700万円に上り、統計が残る1940年以降、最多だったことが警視庁のまとめでわかった。
 警視庁によると、前年より約6億円増えた。1件当たりの最高額は約3400万円で、箱に入った状態で見つかったものだという。
 拾得物は約371万点で、前年(約302万点)から約2割増えた。内訳は運転免許証や保険証といった「証明書類」が最多の約73万点で、交通系ICカードなどの「有価証券類」が約39万点と続いた。このうち、持ち主が見つからなかった現金と、物品を売却した計約7億2700万円が都の歳入となった。
 落とし物が増えた理由について、警視庁は新型コロナウイルス対策の外出自粛などが緩和されて人出が増加したことも一因とみており、「花見シー
ズンを迎えて外出する機会が増えるが、落とし物には気をつけてほしい」と呼びかけている。

(「警視庁に届いた現金の落とし物、過去最多40億円…最高額は「箱に入った3400万円」読売新聞オンライン)
 外人のYouTuberの投稿を見ていると、ほとんどの人が日本の素晴らしさの一つに、遺失物が返ってくることを挙げる。自分もこの経験が多く、こんなとき、つくづく日本に生まれて良かったと思う。ほとんどのものが返ってくるのだ。 

 財布の8割から9割が戻ってくるという安全な社会環境は、小さいころからの道徳教育の充実と、交番システム、落とし物をした人への同情や、知らない人の物を持つことを忌み嫌うという、社会への連帯意識が影響しているという。
 しかし、いつまでもこんなご厚意に甘えてばかりはいられないことは承知している。
 もちろん、落としたとき平然としてはおられない。一日中、心が沈む。自分の不注意をなじり、どうしてこんなことがいつまでも起きるのか、情けない気持ちでいっぱいになる。そして、使用停止の手続きとか、いろんなことに時間を割かれるのも苦痛だ。
 元々
天然ボケは自認していたが、あまりにも忘れ物が多いので、以前、病気ではないか調べてみたことがある。注意欠陥障害と呼ばれる病気があるそうだ。
 これは、
ADHDと呼ばれる発達障害の一つで、主な症状として、時間を守れず遅刻する、約束を忘れるので守れない、人の気持ちが分からない、コミュニケーションが支離滅裂、散らかして片付けないというような、一つの事柄について集中できず、注意力が散漫になってしまう病気のようだ。ーこれは違うようだが、どうも忘れることについて、何か傾向があるようだ。

 

綾小路きみまろの「あれから40年」

 これについては、綾小路きみまろ(現在72歳、写真左)の「あれから40年」(写真右)という抱腹絶倒の漫談を思いだす。

 「言ったことは忘れ、言おうとしたことまで忘れ、忘れたことも忘れた」という下りや、薬を飲んだかどうか分からなるご主人に、奥さんが「ゴミ箱の中の包み紙を確認すれば」というのが他人ごとと思えないブラックジョークだ。

 

 認知症について

 会社から「認知症と思われる方との接し方」という文が送られてきた。2025年には65歳以上の5人に1人が発症。また、マンション1棟(50戸、125人居住)当たり7人の割合で認知症の人が居住するという予測があるという。

 マンション管理人として、居住者とのトラブルを防ぐための心構えが書かれてあるが、「ミイラ取りがミイラ」。当の管理人が認知症になる可能性も十分にあり、現に前職のとき、明らかに仕事に支障を来す管理人に辞めてもらったことある。

 会社から送られてきた資料には、認知症予防のための「自分でできる!かんたんチェックリスト」が20問あり、点数を合計して0~9点は問題なし、10~15点が要注意、16点以上は危険というところで、試してみたら8点だった。ホッとという感じではない。

 

忘れ物対策

 最近は忘れるときと忘れやすい物の傾向が少し分かってきたので、以下のことを励行しようと思っている。それでも忘れるのは仕方がないと割りきるしかない。

1.出かけるときと帰るときの確認を確実にする

2.疲れているとき、集中力が極端に落ちるので、十分注意する

3.傘など忘れやすいものは、肌身に付けるなどして目から離さない

4.忘れやすいものは、事前に目に付くところに置いておく

5.忘れないうちに、いつもメモ帳とペンを携帯しておく

 

最後は「忘れられない」で苦悩している歌。

外国人が歌う曲

ペギー・マーチ/忘れないわ(1963年)

エンゲルベルト・フンパーディンク/Am I That Easy To Forget(1967年)  

「忘れたい」のを、お酒で紛らわしている曲
 河島英吾/酒と泪と男と女(1976年)(ブルー音符忘れてしまいたことやブルー音符)

小林幸子/おもいで酒(1979年) (ブルー音符いつかは忘れる人なのにブルー音符

アイドル歌手が歌う「忘れたい」 
松田聖子/風立ちぬ(1981年) (ブルー音符忘れたい忘れないあなたの影ブルー音符

中森明菜/難破船(1986年)(ブルー音符あなたを忘れるためブルー音符

忘れることの苦しさがにじみ出ている曲 
黛ジュン/夕月(1968年) (ブルー音符おしえてほしいの忘れるすべをブルー音符

欧陽菲菲/ラヴ・イズ・オーヴァー(1979年)(ブルー音符わたしはあんたを忘れはしないブルー音符

 みんな恋の思い出を忘れることが出来ないので悩んでいるんだネ。