★第179話:日本語が「ヤバい」 | 中高年の中高年による中高年のための音楽

中高年の中高年による中高年のための音楽

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 「日本語の乱れ」を指摘すると、老人っぽく聞こえるので、あまり言いたくないが、最近使われる軽薄な言葉に嫌気がさしている。

 

若者言葉

 「最近の若い者は!」というつもりはない。日本語の乱れという考え方は、近年に始まったことではなく、古くは、清少納言が作者とされる「枕草子」にも、若者の言葉の乱れを嘆く、次の一節がある。
 

 「ふと心劣りとかするものは、男も女も、言葉の文字いやしう使ひたるこそ、よろづのことよりまさりてわろけれ。ただ文字一つに、あやしう、あてにもいやしうもなるは、いかなるにかあらむ。さるは、かう思ふ人、ことにすぐれてもあらじかし。いづれをよしあしと知るにかは。されど、人をば知らじ、ただ心地にさおぼゆるなり」(口語訳:不意に幻滅することですが、男性も女性も、言葉遣いを下品に操っているのは、何事にもましてよくないことです。ただ文字一つで、不思議なことに、上品にも下品にもなるのは、どういうわけでしょうか。そうはいうものの、こう思う人(清少納言自身)が、特に優れているというわけでもないでしょう。(とすると)何が正しくて何が良くないと判断するのでしょうか。しかし、人の考えは知りませんが、(私は)ただそのように思うのです)
 
「いやしきこともわろきことも、さと知りながらことさらに言ひたるは、あしうもあらず。わがもてつけたるを、つつみなく言ひたるは、あさましきわざなり。また、さもあるまじき老いたる人、男などの、わざとつくろひ、ひなびたるはにくし。まさなきことも、あやしきことも、大人なるは、まのもなく言ひたるを、若き人は、いみじうかたはらいたきことに聞き入りたるこそ、さるべきことなれ」(口語訳:
下品なことも良くないことも、そうと知りながらわざと口にすることは、悪くもありません。自分の身にしみてしまっている言葉を、はばかることなく言うことは、あきれるものです。また、そのような言葉を使うべきではない老人や、男性などが、意図的にとりつくろって、田舎じみていることは気にくわないです。よくない言葉や、みっともない言葉を、大人が、堂々と口にするのを、若い人が、大変きまりが悪いこととして耳を澄まして聞いているのは、当然のことです)

 振り返って見れば自分が若者時代でも「若者言葉」はあった。自分が嫌なのは、いい歳をした老人がこの言葉を使うことだ。

 

 お笑いタレント・出川哲朗(57歳、写真)がよく使う言葉に代表される「リアル」「ヤバいよ」「ガチ」など。

 
「めっちゃ」「ディする」「キモい」「マジ」「ウザい」も若者なら許すが、老人が使うのには、どうしてもついていけない。


 

政治家が使う印象操作
 政治家の言葉には注意した方がいい。安倍元首相は
「印象操作」とか「レッテル貼り」という言葉で野党を攻撃していたが、皮肉なもので、印象操作はご自身のお家芸でもあった。

 その印象操作で世論を誘導することがあるのが怖い。

 そしてよく使うフレーズ。
「忸怩たる思い」「苦渋の決断」の何と軽いことか。せめて「苦渋の決断」というのなら、目の下に隈が出来るくらい悩んだ跡を示して欲しいものだ。責任のある立場の人間が軽々しく言うもんじゃない。

 

新型コロナ禍で多用される聞きなれない用語

 ここに来て新型コロナ禍で多用される用語。

まん防

 まずは、笑い話のようになってしまった「まん防」「まん延防止等重点措置」を略したものだが、本日(4/5)の朝日新聞・天声人語によると、「(まん防)がのんびりした感じがするのは、丸っこいマンボウの姿(画像)が浮かぶからだ。

 (中略)そもそも「ゆるい感じ」は制度を作るときから付きまとっていた。緊急事態宣言が続けば、五輪中止の声はさらに高まるに違いない。だから宣言の前座のような措置を設けたい。そんな下心も見え隠れしていた。…」とある。その通りだと思う。

エッセンンシャル・ワーカー

 そして、同じく朝日新聞・声の欄(4/4)「深刻な実態隠すカタカナ語」より、ダイバーシティー(多様性)、コンプライアンス(法令順守)、SDGs(持続的可能目標)、ヤングケアラー(十代の家族介護者)のことに触れ、特にエッセンシャルワーカー社会を支える必要不可欠な仕事に従事している人たち)という何となく耳当たりのいい語感が、その意図はないにせよ、(医療現場や介護施設の従事者)の苦悩を覆い隠す隠れ蓑になっていないかと警鐘を鳴らし、まずは日本語で表記し、続けてカッコでカタカナ語などを添えてメディアは報道して欲しい」と要望していたのも正しい。

 

 日本は「言霊(ことだま)の国」。言葉次第で印象が一変する。クラスター(集団感染)、オーバーシュート(感染拡大)、ロックダウン(都市封鎖)という類いも、新型コロナ感染に対する危機感を薄めることになったのは否めない。

 

続く。