随分と更新が滞っていたので、夏休みに起こった話でも書いてみようと思う。
夏休みのある日、先輩の家で呑んでいた。
メンバーは俺、先輩、先輩の嫁さんの3人。
呑んでいたと言っても、俺は酒が呑めない方なので、最初に一杯呑んでからは烏龍茶とかコーラとかを飲んでた。先輩の嫁さんも付き合い程度なので軽く。先輩は酒に強い上に無類の酒好きなので、かなりの量を。
最近手に入れた穴あきサンダルにつける飾りを自作したとかでかなりの上機嫌だったから、いつもより呑んでいたかも。
正直、凄いとは思った。でも、センスは疑わざるを得なかった。
人の手首を模した飾りに対して、羨ましいなんて思うわけがない。
夕方くらいから呑み始めて深夜。そろそろ帰ろうかと思った矢先に先輩が『きも試しをしよう』と言い出した。
でも、それには二人して反対した。
俺にはそんな度胸がないし、先輩の嫁さんは好きでもないのに霊的なものが視える体質らしい。
完全にできあがった先輩は行くと言って聞かない。
最終的には一人でも行くと言い出し、車の鍵を取りに行こうとする始末。
仕方ないので気は進まないものの、俺が運転する羽目に。
目的地は○○トンネル。
有名な心霊スポットだとか。
行くことが決まるや否や先輩は上機嫌で車に乗り込んだ。
運転している最中に説得しようと思っていたのだが、気付くとすでに眠っていた。
足には自慢の穴あきサンダルを履いていた。
目的地に着いた時にも先輩は眠っていた。
散々起こしたけど起きなかった事にして帰れば良かったと思う。
結局、後で文句を言われても面倒だと思い、先輩を起こした。
おぼつかない足取りでトンネルに向かっていく先輩を見送りながら、俺は車を回した。すぐに逃げれるように。
霊なんてものは信じていないが、それでも気味が悪いし怖い。
10分経っても先輩が出てこなかったので、中で寝てるんじゃないかと思った。
それでも様子を見に行かなかったのは怖かったから。
さらに10分くらいして、先輩が揚々と出てきた。
話を聞いてみると、中で白い服の女性と出会って話をしていたらしい。
で、『行かないでほしい』と言われたそうだ。それに対して『嫁がいるから』と言ったとかなんとか。
酔った人間の言葉なので、話半分にしか聞いてなかった。
何事もなく先輩に家に辿り着くと、先輩の嫁さんが出迎えてくれた。
『無事に帰ってきましたよ』と言った直後、表情が一変。蒼ざめた表情で『何それ……』と震える指先で先輩の足元を指した。
指の指すものは先輩の穴あきサンダル。
自作の手首を模した飾りが付いている。
そして――血にまみれた先輩の足。
よく見ると――作り物ではなく、本物の手首が足の甲に突き刺さってた。深々と。
まぁ、そんな感じ。
情けない話、あの後すぐに気を失ったから詳細は不明。
(終わり)