これは子供が児童相談所に虐待の疑いで一時保護され、解除後の話です。
子供が保護解除され家に戻ってきて。
最初は一時保護所での影響で様子がおかしかった子供。
徐々に徐々に以前の自分に戻っていく。
望まない親子断絶で傷ついた子供の心に平穏が訪れていく。
ある日、子供と風呂に入った。
子供が思い出したかのように言い出した。
「パパとママは僕が家に帰れなかった時泣いてたの?」と。
正直に、「パパもママも会いたくても会わしてもらえなくて泣いてたよ」、と答えた。
「子供が1人寂しくしていることが悲しくてずっと泣いてたよ」、と。
すると、子供がこう言った。
「僕も、ずっと寂しかった。本当はパパとママと会いたくて、泣きたかったけどいい子にしていると約束したらか泣かなかった」と。
子供は一時保護されるとき、何も知らなかった私に別れ際に「いい子にしてたらすぐに帰れる」と言われていた。
このときの子供の顔は忘れられない。
当時のことを思い出し、泣きそうになり目に涙を浮かべ話していた。
顔はくしゃくしゃになっていた。
心が痛む。
確かに虐待を疑われるような怪我が子供にあった。
でもすぐに疑いは晴れた。
それでも、子供は帰ってこなかった。
この間子供は一時保護所で出会いと別れを繰り返す。
仲良かった子が急に居なくなる。
自分はいつになったらパパとママの下へ帰れるのだろうと言っていたらしい。
本当はおうちに帰りたいと言って泣いていたのを知っている。
でもそれは知らなかったふりをしている。
たぶん、子供の中では泣いてなかったことになっているんだろう。
あんな顔、二度とさせたくない。
あんな思い二度としたくない。
あの日あの時お風呂場で見せたあの顔は、一生忘れない。