蔦屋重三郎展(東京国立博物館) | 小川村塾ブログ

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5月11日(日)13:00~17:00
東京国立博物館で開催の蔦屋重三郎展に行ってきました。

有名な絵画展はいつも混んでいるのである程度混んでいることは覚悟していきましたが、すごく混んでいて作品がなかなか観ることができない。

というような状況ではありませんでした。
隣の東京都美術館で開催されているミロ展もミロが好きな画家の一人なので気にはなったのですが今回は写楽の浮世絵を観ることにしました。

 

 

展示は第1章から第3章に分かれています。

第1章は吉原細見、洒落本、黄表紙

NHK大河ドラマ「べらぼう」と連携した展示なので第1章は大河ドラマを観ている人達にとっては大感激という感じで小さな本に見入っています。

自分は大河をほとんど観ていないのでその仲間には入ることはできませんでした。

 

みんなが感心している吉原細見など何のことやらという感じでいる自分の横で多くの人が「これが…」というような感じで小さな本に感激しているようです。

ここは非常に混んでいます。

展覧会のあるあるではじめは混雑状態でみんなこれから観るぞという意気込みが感じられる場所です。

この状態でずっと進むとちょっと大変だと危惧します。

 

途中で自分も知っている平賀源内作の「エレキテル」が展示してあり、写真で見るより年代を感じる古さがありました。

実物を観ることができて少し感激。

 

第2章 狂歌、歌麿

歌麿の浮世絵はそれほど多く観た記憶がありません。

浮世絵というと北斎、広重の風景画を思い浮かべてしまいます。

浮世絵の美人画はどれも女性が同じような顔に見えてしまいます。

しかし、今回、歌麿の浮世絵を観てちょっと感じ方が変わりました。

まず、美しい。

 

歌麿の「画本虫撰」の生物、植物の繊細な描き方を観るとさすがにすごいなと思うしかありません。北斎、若冲に通じるものを感じました。

歌麿の描く「歌まくら」など多くの美人画は毛髪の生え際の1本1本の線の繊細さが際立っています。

この繊細な線を浮世絵として出版させた彫師の技術の高さに驚嘆しました。

絵師がどうしてもクローズアップされますが、この毛髪の1本1本を表現できる彫師の腕のよさがなければ浮世絵は成り立ちません。

彫師を主人公の物語もできるのではないか。

 

第3章 浮世絵、歌麿、写楽

今までは人物の全体像を描くのが普通だった浮世絵を人物の顔をクローズアップした「大首絵」による歌麿、写楽の浮世絵の展示。

 

歌麿の「ポッピンを吹く娘」について、ミュージアムショップで販売されていたポストカードの「ポッピンを吹く娘」と展示してあった浮世絵の色があまりにも違っていたので、もう一度記憶に間違いがないのか展示の「ポッピンを吹く娘」を観に行った。

すると、やはり色が違っていて展示されている浮世絵と比べるとポストカードの着物の色は色が濃すぎると感じ違和感を持った。

すると5月14日にニュースで「ポッピンを吹く娘」が保存状態もよく色も鮮やかな色彩のものが確認され5月20日より東京博物館にて特別公開されることを知った。

観てみたい。

 

 

歌麿の絵は「大首絵」によってより才能がいかされたようだ。

人物の内面などがより絵に表れているのが分かりやすくなっている。

 

写楽の「大谷鬼次の江戸兵衛」「市川男女蔵の奴一平」は同じシーンの二人を対比して描いていることで有名。

今回これを観たかったので現物を観ることができてちょっと感激。

 

 

歌麿、写楽の浮世絵を今までにこれほど多く見たことがなかったので今回よく観ることができてよかった。

 

平成館から本館1階の特別室4に「スタンプを重ねて浮世絵に挑戦」というコーナーがある。

5回スタンプを重ねて浮世絵を完成させる。

5版で「大谷鬼次の江戸兵衛」のポストカードを作成できる。

コーナーを体験するとこうやって多色刷りができるということが実感でき面白い。

これは思いのほか楽しい。

できた浮世絵もきれいでよい思い出になる。

 

 

平成館企画展示室

「川瀬巴水」の木版画が多く展示されています。

「川瀬巴水」の風景画が好きな人にはたまりません。

 

浮世絵は絵師、彫師、摺師の最高技術の総結集により出来上がったもので3つのうちのどれかがかけてもできなかったものだということを再確認しました。

それは浮世絵の素晴らしさの確認でもあります。

浮世絵が海外の印象派はじめ多くのアーティストに影響を与えたことはうなずけます。

 

ちなみに静岡県には絵師、彫師、摺師を一人で行い素晴らしい木版画を制作している「牧野宗則」という画伯がおられます。

自分は「牧野宗則」画伯の「光明」という作品で仕事への情熱をいただきました。