ツバメやカルガモならいい。
家に巣を作りに来ても、何となく許せる気分になれる。
昔、家の前の電信柱にカラスが巣を作ったことがある。
市役所か、電気会社かに巣を撤去してもらうように電話をした。
すると、係の人がやって来て、電信柱の上に登って行った。
巣の様子を見て降りてくると、
「巣の中に卵があるから撤去はできない。
ヒナがいなくなってから撤去します。」
と言った。
自分としては、なんか腑に落ちなかった。
カラスが、またどんどん増えてしまうのではないか、
という思いの方が強かった。
自転車のかごに買い物が入ったレジ袋が置かれている。
すると、入っていた中身はすべて外に乱雑に放り出される。
畑の作物は荒らされる。
トウモロコシなど、ちょうど食べ頃で収穫しようという時に、すべてつつかれてしまう。
作った人間の口には入らない。
すべてカラスによる。
そんなカラスが、このままではまた増殖することになる。
でも撤去しないと言われたのだから、仕方がないと思うしかなかった。
そして、3羽のカラスが新たに誕生した。
ヨチヨチ歩きの小さなカラスが羽を不器用に広げて、親のカラスの後を歩いていた。
これは電信柱にいたカラスだろうなと思った。
カラスがまた増えた。
心の中では嬉しくなかった。
3羽の小さなカラスはヨチヨチと歩いていた。
親のカラスは電線にとまって3羽のカラスを見ていた。
親のカラスがしっかり見ていた。
そして、3羽のカラスは成長し、空を自由に飛んだ。
畑の被害も増加することになるだろう。
なんか納得できなかった。
親は子供たちに、
あの畑には食べ物があるから。
自転車のかごの中にもあるかもしれないから。
気にかけておくように。
なんて言っているかもしれない。
これも親の愛情のひとつ。
その愛情により、こちらの迷惑度はアップ。