「本にだって雄と雌があります」 小田雅久仁著
本の相性が良いと2冊の本の間に幻書と呼ばれる本が生まれて、部屋中を飛び回る。
そんなことがキーポイントになって、夫婦愛と子孫まで続く縦の時系列の鎖がつながっていく物語。
文体は会話や句読点が少なく、ぎっしり書かれているので、読むのにちょっと普通より時間がかかってしまった。
内容は森見登美彦著の「夜は短し歩けよ乙女」の乙女チックな感じをなくして男チックにした感じ。
森見ワールドが京都ならば、この本は大阪の匂いがする。
全320ページ位のうち前半100ページ位はちょっと読むのに辛いけれど、後半の残り60ページ位は今までに書かていたことが伏線になって、面白くなってくる。
夫婦が年老いてもお互いを愛し合っている姿は何かすがすがしさを感じる。
同じような感じを「天地明察」を読んだ時も感じたことを思い出した。
ただ、新しく本ができてしまう物語だと思って読んでいくと後で「そうだったのか」とちょっとびっくりする。
みんなが手を取り合って笑顔でいる姿が浮かんでくる。
愛に包まれている。