by 美輪明宏

 

 ミスをしてしまったとき、大きな間違いを犯してしまった時、

私たちは「なぜこんなことをしてしまったのだろう」という思いから、

「こんなこともできない自分はダメだ」と考えたり、

「自分は能力のない人間なんだ」と思ってしまうことがよくあります。

 

高みを目指していればいるほど、小さなミスから大きなミスまで

目についてはそれを反省し、また反省しては自分の力不足に劣等感を感じる。

 

これはメンタル的にいい状態とは言えないでしょう。

 

自分の能力を発揮するには、そのスキルをもっているかどうかということの前提に、

自分の”状態”がどうか、ということがカギになってきます。

 

自分の”状態”が良いものであれば、普段以上のパフォーマンスを発揮できるし、

そうでなければ、それ以下のものになってしまうでしょう。

 

 サッカー日本代表の長友佑都選手がインテルに加入して間もないころに、

これに大きくかかわる話をしていました。

 

イタリアの小さな町クラブから世界的にビッククラブと言われる名門インテルに加入した

長友選手は、周りのレベルとの違いに圧倒されたといっています。ついていくのが必死だったそうです。

 

そんな中でのパフォーマンスは決していいものではなく、ベンチにいる時間が多かったのです。

同じポジションの選手がケガをして、長友選手の出番が回ってきたときに、

1つだけ決意したことがありました。

 

それは

「楽しんで思いっきりやること」。

 

今まで周りについていけるかビクビクしていた状態から、

自分のベストを出そうと心が切り替えたのです。この瞬間から長友選手の状態はいいものに変わりました。

 

この試合でのパフォーマンスを評価され、このシーズンのレギュラーを勝ち取ります。

 

この日に長友選手の能力が一気に上がったわけではありません。

心の持ちようで、状態が変わり、それが結果に繋がったという事です。

 

メンタルが強いと言われる一流選手ほど、ミスを気にしません。

再発予防はしたとしても、すぐに切り替え、メンタル的に悪い状態を長続きさせない。

自分を良い状態で保ち続ける技術があるからこそ、彼らは結果を出し続けるのでしょう。

 

それは、私たちみなに言えることで、普段の仕事や生活でのパフォーマンスを上げたいのであれば、

自分の状態をいいものに保つことです。

 

自分に対して厳しくすることは重要ですが、自分を落とす必要はない。

ミスをしたとしても、挑戦したことを評価し自分をむしろ褒めることが大切です。

 

褒める行為は自己肯定感を高め、よりよい状態へと導いてくれます。

 

ミスをしたとき、間違いをしたとき、周りはあなたを批判しバカにしてくるかもしれません。

そんな時に自分を救い出せるのは、自分しかいないのです。