私が物心がついてからの引っ越しは

成人式以降だったのだが

それまでの間に住んでいたアパートでは

狭い割によく模様替えをしていた

 

私が中学生ぐらいまでは

学校に行っている間に

母が1人でやっていたようだったが

それ以降は私や妹にも手伝わせていた

 

整理ダンスやピアノなどは

2人で持ち上げたほうが早いと

喜んでいたが

私は非力なので

もっぱら家具の下に蒲鉾板を挟む役

 

父?

父はあてにならないし面倒ということで

いない間にやっていた

 

例えば整理ダンスなら

中身が入ったまま

引き出しを少し開けたところを持つ

ピアノはアップライトなので2人で充分

整理ダンスよりも軽い洋服ダンスは

軽々と持ち上がる

 

そんな光景を見ながら

役に立たない非力な自分がもどかしかった

 

結婚相手が転勤族だったので

今度は自分でやらなければならなくなったが

夫に手伝ってもらう

という概念が育っておらず

夫の留守にやるものという認識もあって

昼間に1人で色々やっていた

 

その後に就職した派遣先の会社で

ある時、部署の大幅な模様替えがあり

机や椅子はもちろん

書類の入ったロッカーなども動かす

ということで

思い切り押してみたらすんなり動いた

 

もちろん中身はぎっしり詰まったままだし

男性でもなかなか動かせず

助っ人を呼びに行っている間の出来事だった

 

周りの人たちが唖然とする中

私は自身の非力さをよくわきまえているので

「ほら、私にできるんだから

 みんなもやってみれば?」

的な発言をしたと思うが

これ以降、実は怪力という噂が

社内を駆け巡ったとか巡らなかったとか

 

自分は家族の中で一番非力なのだと

同僚に話すも

なかなか信じてもらえず

「本当ならその家族怖い」

とまで言われる始末

 

そう言えば新婚の頃

灯油缶2つを両手に階段を登っていたが

あれも普通ではなかったのかもしれない