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対刺剣  BYマカオ女子チーム

2005年12月にベトナム・ハノイ市で開催された『第8回世界武術選手権大会(第八届世界武術錦標賽※1/The 8th World Wushu Championships)』女子対練(Dui4 Lian4/Dual Event)競技で優勝した、対刺剣(Dui4 ci4 jian4)の演武です(最終得点は9.58)。

対刺剣動画へのリンクはここをクリック


演じているのは、マカオチームの韓静(Han Jing)と黄燕慧(Huang Yan Hui)の2人。
実は2人とも、元中国チームの所属。
韓静は北京市チーム、黄燕慧は福建省チームの元プロ選手でした。
それのみならず、韓静は一度「中国代表」も経験しています。


中国国内で優勝入賞し、中国代表を経験したのちにマカオへと所属を移したため、優秀選手としての彼女の競技キャリアは短いものとは言いがたく、1973年11月30日生まれの彼女の年齢は、2006年12月にカタール共和国ドーハ市で開催された第15回アジア競技大会の時点で、33歳でした。


2006年末の時点では、IWF(国際武術聯会/International Wushu Federation)主催の国際競技大会における「連接難度加分(lian2 jie1 nan2 du4 jia1 fen1/日本の競技大会での呼称は「自選難度」)」種目は、徒手項目(長拳・南拳・太極拳)のみとなっており、器械項目はおおむね従来の意味での「自選」種目とされています。
(※各選手が任意に器械種目に難度動作を入れて演技することは可能)


それも手伝って、という要素もありますが、韓静は30代でありながら徒手の難度長拳でも9.49点の得点で3位に食い込み、槍術では9.29点で4位、剣術では9.70点で2位の成績を出し、堂々の銅メダルを獲得したのです。
アジア競技大会に限って言えば、2大会連続でのメダル獲得です。


この2006年ドーハアジア大会、実は韓静のみならず、香港チームでもメダルを獲得できたのは、若手選手ではなく20代後半と30代前半の「ベテラン」メンバー。
2005年12月の世界選手権を最後に代表選手を引退したマレーシアチームの何諾賓(Ho Ro Bin)も、引退した理由について年齢のことは特にコメントしていない様子で、「子供もできて、生活面でスケジュールの調整が難しくなった」ことを挙げています。


韓静自身は、以前のマカオメディアのインタビューにおいて


「できる限り長く現役を続けていきたい」


という気持ちを述べています。


結局は、本人の意思と歩みを止めないことだけがすべての物事における「限界点」を決めるのかもしれない、という一例がそこから垣間見えてくるのです。

彼女が真の「限界」を感じ自ら退こうと決意するその日まで、競技の舞台で「ベテランの真の強さ」を発揮し続けることを願ってやみません。



※1=普通話(中国共通語)発音は「Di4 ba1 jie4 shi4 jie4 wu3 shu4 jin3 biao1 sai4」



HanJing7WWC


■「澳門武術套路集訓隊」紹介ページ
http://www.aamcm.org.mo/page06.html


■澳門傑出運動員候選名単
http://www.qoos.com/eaem/vote1.php


■マカオ特別行政区政府サイト内
 「第十八届澳門武術錦標賽(第18回マカオ武術選手権大会)」告知ページ
http://www.gov.mo/egi/Portal/rkw/public/view/showcomp.jsp?id=InfoShowTemp&isev=1&docid=c373e90420e842018f7e4f00df18727e

自分の限界は、自分にしか決められない

世界中に数多く存在する各種の中国武術の大会のうち、そのごく一部しか目にしていない場合に頻繁に誤解してしまいがちなことがあります。


それは、「長拳や南拳系の拳種は、10代以下のきわめて若い世代、最悪でも20代中盤まででなければ絶対にできない」という思い込みです。


競技用長拳・南拳で「きわめて高いレベルをめざす」ことに限って言えば、確かに当たっていることは否めません。


しかし、世界中で長拳・南拳系の拳種を学ぶすべての人が、競技で「きわめて高いレベルをめざす」人たちばかりでしょうか?
また、そうでなければいけないのでしょうか?


答えは「否」です。


ひとくちに、「長拳・南拳を学ぶ」と言っても、競技用の套路から伝統長拳・伝統南拳まで、套路も種類も実にさまざまです。


その中のどれかひとつだけが真実でそれ以外が間違っている、というものでもありません。


さまざまな年齢・身体条件・境遇の人たちが、それぞれの希望や状況に応じて学ぶものを選ぶだけの話です。


競技用長拳・南拳にしても、若いうちから選手としての活動を長く続け、練習を継続している人の中には、30代40代になっても、跳躍以外の動作は若いときとほとんど差が無い人も世界的な範囲で見れば数多く存在しています。



つまり。

「アジア競技大会などの国際競技大会などで1位を獲れる条件を満たすレベルの競技用長拳・南拳は、確かに若い方がある意味有利ですが、それはその限定条件下でこそ当てはまるものである」


...ということです。


そして。


「自分のペースで地道に修練していくことだけを希望しているのであれば、40代50代からでもできる長拳・南拳の套路や練習方法もある」


......ということです。


それを示す一例として、『香港國際武術節(The HongKong International Wushu Festival/香港國際武術フェスティバル)』の長拳・南拳の出場可能年齢を紐解いてみると、


長拳は「59歳まで出場可能」


南拳は「60歳以上でも出場可能」


となっています。


まさに、名師・蔡龍雲老師のお言葉どおり、


「長拳は60歳までできる」


を体現していると言えるでしょう。


今回は、そんなことを考えさせられる動画です。


「wu shu (basic changquan form #1)」というタイトルで公開されているもので、Yang Hong Junという老師のおばにあたる方だそうです。

(wu shu (basic changquan form #1)動画へのリンクはここをクリック !)


演じているのは、初級長拳第三路(別名:三段長拳)。


間違いなく初級長拳三路の套路です。


動画の紹介文は


「This ought to be Routine 3 of Changquan; this the aunt of Master Yang Hong Jun (who you can also find among my vids) and as you can see, you shouldn't underestimate the elderly. 」


と書かれてあり、「年配を過小評価するべきではない」とはっきり明文化されています。


まさにその通りだと思います。


やはり「限界というものは、自分の心の中だけで勝手に「実際よりも低く」設定してしまってはいけないのだ」ということですね。

『Wushu Cutie 3』

『Wushu Cutie』および『Wushu Cutie 2』にて、「やる気マンマン」の演武を披露してくれたAbigail Chu 嬢(5歳)のその後。

6歳になったAbigailが、今年2007年にカナダ・モントリオール市で開催された「Quebec Wushu Championships (ケベック武術選手権大会)」に出場した際の自選長拳です。

WushuCutieAbigailChu03



ムービーの紹介文は英語原文で以下のように紹介されています。

「6 years old Abigail Chu competes at the Quebec Wushu Championship in Montreal. This is her optional Chanquan form.」

『Wushu Cutie』および『Wushu Cutie 2』と特に変わらず「自分の意思で」演じているように見受けられることに安心させられます。
武術競技に限らずすべてのスポーツに言えることですが、若い頃幼い頃から頭角を表しているジュニア選手の場合、本人の意思をはるかに越えた過剰な期待や重圧がかかることも少なくなく、その期待自体が「辞めたいと思う」直接の原因になるケースがしばしば出てきます。競技に向き合うモチベーションが低下してしまうだけならまだしも、悪くすればその競技の種目自体が嫌いになったり、人生の中でのトラウマな経験になってしまうことも少なくはないはずです。

そういったケースは武術競技でもいくつも見られ、スポーツ競技全体では枚挙に暇がないことなので、正直このムービーAbigailがそうなっていなければ良いけれども......という心配も常につきまといます。


幸いにして、今回の自選長拳演武では「周囲に無理にやらされてる感」は第三者的視点ではまだ感じられないようですので、願わくば彼女の周囲の年長者が過剰なプレシャーをかけずに、本人のモチベーションとのバランスをうまく取りつつ、成長していってもらえれば.......と僭越ながら願うばかりです。


Aby、加油!!! (頑張れAby!!!)

『第5回香港國際武術フェスティバル』成績報告

3月16日~19日に、中国香港にて開催されました『第五届香港國際武術節(The 5th HongKong International Wushu Festival/第5回香港国際武術フェスティバル)』に、当ブログの管理者である大阪武術文化研究会主宰兼コーチの伊藤晴香が出場いたしました。
結果は下記の通りです。



2007The5thHKIWF_medals


2007The5thHKIWF_medals02

女子長拳F8組第1位
女子伝統南拳F8組第1位
女子剣術F8組第2位


2007The5thHKIWF_Qingxiang


2007The5thHKIWF_Qingxiang02

応援してくださった皆様、激励をいただいた皆様、本当にありがとうございました。

長拳基本功<11>

台湾の武術団体「交大國術社」 で紹介されている旋子(xuan2 zi)の動画です。
動画の再生時間が恐ろしく短いので、連続再生モードで見ると良いでしょう。
※時折、サーバー自体が一時的にダウンして「交大國術社」 のWEBサイト自体にアクセスできないことがあります。その際は、時間もしくは日を改めて再度アクセスしてみてください。
 2006年クリスマスシーズンに、台湾沖で起こった地震のために、台湾・香港・中国地域への回線が不調な状態が継続しておりますので、アクセスできないことも通常より多い場合があります。何卒ご了承ください。
(旋子の動画へのリンクは ここをクリック !)


旋子という単語は、そのまま辞書にも載っています。


〔旋子/xuan2 zi〕名詞= 輪(わ),円,(【同】[圈子]):
            *打~|(トンビなどが)輪を描く.
                     (出典:「デイリーコンサイス中日辞典」三省堂刊)



全体の動きが、「輪を描く」ように見えますから、単語の意味を考えながら実際の動きをイメージすると、動作のスキルアップに役に立つはずです。


また、余談になりますが旋子の動作は、フィギュアスケートの「バタフライ」という動作とほぼ同じです。

旋子は攻撃動作というよりは、物や人に掴まって相手の攻撃を避けたりするときに多用されているのが、武術アクション映画などでは見られるので、フィギュアスケートの動作と酷似している部分があるのは、それはそれで面白いところですね。


「交大國術社」 サイトからの長拳基本功動画の紹介は、今回で終了です。
全部で11種類が紹介されておりました。




■WEBサイト「交大國術社」  (繁体字中国語(Big5)表示)


■WEBサイト「國立交通大学(National Chiao Tung University) 」 (繁体字中国語(Big5)表示)

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■上記サイト内の「練習内容」 紹介ページ (繁体字中国語(Big5)表示)



※当サイトで紹介しているムービーの著作権は各ムービーの製作者にあります

San Shou Sanda Wushu World Championship 1999

国際武術連盟(普通話(中国共通語)では国際武術聯会(Guo2 ji4 wu3 shu4 lian2 hui4)/International Wushu Federation=略称IWF)主催の、世界武術選手権・アジア武術選手権などの武術選手権大会及び、アジア競技大会(Asian Games)・東アジア競技大会(East Asian Games)などの公式複合競技大会にて、套路(tao4 lu4/とうろ)競技と併せて実施されているのが、散手(San4 shou3/さんしゅ)競技である。


散手は散打(San4 da3/さんだ)とも呼ばれ、実戦試合形式をとる中国武術の対抗性競技である。
紅方(hong2 fang1/赤側)と黒方(hei1 fang1/黒側)に分かれ、グローブやヘッドギア・プロテクターを着用し、擂台(lei4 tai2/らいだい)と呼ばれるコート上で試合を展開する。


〔擂台〕lei4 tai2
 『名』
 (武芸くらべの台から転じて)スポーツの試合や競争の場:
 [打~]試合に参加する.
                 (出典:「デイリーコンサイス中日辞典」三省堂刊)


今回紹介する動画は、1999年11月に中国香港(Hong Kong, China)で開催された「第5回世界武術選手権大会(第五届世界武術錦標賽=Di4 wu5 jie4 shi4 jie4 wu3 shu4 jin3 biao1 sai4/The 5th World Wushu Championships)」での散打競技のハイライト映像である。
(動画へのリンクはここをクリック! )



SanShouSandaWushuWorldChampionship1999



『Wushu Cutie 2』

カナダナショナル武術チーム(Canada National Wushu Team)の選手選抜試合にて、初級棍術(chu1 ji2 gun4 shu4)を表演するAbigail Chu 嬢(5歳)のムービーを、動画共有サイト「youtube」にて発見。
(※初級長拳三路は、『Wushu Cutie』にて紹介しています)

WushuCutieAbigailChu02



ムービーの紹介文は英語原文で以下のように紹介されています。

「5 years old Abigail competes at the Canadian National Wushu Team selection. This is a type of long weapon staff form. 」
これも『Wushu Cutie』で紹介したとおり、最終得点が7.55点で、採点項目がA組4.0点/B組3.55点という、現行最新国際競技ルール方式で得点が発表されています。
『Wushu Cutie』で初級長拳三路を演じているのと同じ選抜試合での映像ですね。
初級長拳三路の映像でもそうなのですが、Abigailは「自分の意思で」堂々と演じている、という印象を受けます。
何よりも、自分の意思でやる気を持って練習に取り組む、おこなうということが大切なのだな、と痛感させられます。
年長者が、あまり無理強いさせることなく、どうやって年少者本人のモチベーションを高めていくか。
難しいけれども、大切な課題ですね。


ちなみに、「WushuCommunity」というサイトでは、Abigailが紹介されています。
4歳で武術を習い始めたようで、お気に入りの拳種は刀術。Sunny Tang Martial Arts Instituteで練習しているようです。
プロフィール写真が愛らしすぎます☆
「WushuCommunity」
内、Abigailのプロフィールページ
http://www.wushucommunity.com/athletes.php?id=874

長拳基本功<10>

台湾の武術団体「交大國術社」 で紹介されている弾腿衝拳(tan2 tui3 chong1 quan2)の動画です。
動画の再生時間が恐ろしく短いので、連続再生モードで見ると良いでしょう。
※時折、サーバー自体が一時的にダウンして「交大國術社」 のWEBサイト自体にアクセスできないことがあります。その際は、時間もしくは日を改めて再度アクセスしてみてください。
(弾腿衝拳の動画へのリンクは ここをクリック !)

弾腿衝拳は、下半身の動作「弾腿」と上半身の動作「衝拳」の複合語です。
長拳系の種目で用いられる用語では、「下半身の動作+上半身の動作」の語順が採用されていることが多いので、ご存知ない方は覚えておくと役に立つと思います。



弾腿衝拳(tan2 tui3 chong1 quan2)の単語を構成している言葉のうち、新出項目の「(tan2)」と「(chong1)」及び「(quan2)」を紐解いてみましょう。


〔弾/tan2〕動詞=(1) はじく:
            *~球|玉をはじく.


〔冲(沖・衝)/chong1〕動詞=(3) 突進する,攻撃をかける.


〔拳/quan2〕名詞=(1) 握り拳(こぶし),げんこつ.
                     (出典:「デイリーコンサイス中日辞典」三省堂刊)


動画の動きと併せて構成されている言葉の意味を理解するとそのまま動作規格の要求に適うのは、これもやはり例外ではありませんね。
「交大國術社」 「練習内容」 ページでは、この動画ファイルは「衝拳弾踢(chong1 quan2 tan2 ti3)」の部分にリンクされていますが、「弾腿」が「弾くように蹴る」という動作なので、そのまま「弾くように蹴る」という意味をダイレクトに持つ「弾踢」を当てたものと推測されます。



■WEBサイト「交大國術社」  (繁体字中国語(Big5)表示)



■WEBサイト「國立交通大学(National Chiao Tung University) 」 (繁体字中国語(Big5)表示)

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■上記サイト内の「練習内容」 紹介ページ (繁体字中国語(Big5)表示)




南拳競賽套路

南拳競賽套路(普通話(中国共通語)ではnan2 quan2 jing4 sai4 tao1 lu4/日本では南拳規定套路(なんけんきていとうろ)と主に呼ばれている)は、1990年に開催された第11回アジア競技大会北京1990(第11届亜運会(普通話(中国共通語)ではdi4 shi2 yi1 jie4 ya4 yun4 hui4/The 11th Asian Games Beijing 1990)にて初めて武術套路競技がアジア大会の実施種目として採用されたのを機に普及が始まった国際競技用の規定套路である。

この南拳競賽套路は、「南拳のメッカ」とも呼ばれている中国広東省(Guangdong, China)の体育工作大隊=略称「体工隊(普通話(中国共通語)ではti3 gong1 dui4/広東語ではtai2 gung1 deui2/意訳すると「スポーツプロチーム」となる)」に当時所属していた陳莉紅(普通話(中国共通語)ではChen2 Li4 Hong2/広東語ではChan4 Lei6 Hung4/ちん・りこう)の自選套路から極端に難度の高い動作を除いて構成されたもので、長拳競賽套路第一套(※ 『世界武術王子・原文慶<1> 』参照)と同時期に撮影された教学用のビデオ教材にて、模範演武を彼女自身が努めている。
(陳莉紅による南拳競賽套路の模範演武動画へのリンクはここをクリック !)

compulsory_nanquan_ChenLiHong



陳莉紅(Chen2 Li4 Hong2/Chan4 Lei6 Hung4) 主な上位成績>
■1981年:全国武術表演賽・女子伝統器械3位
■1982年:全国武術表演賽・女子伝統拳3位
■1983年:全国武術表演賽・女子南拳2位
      第5回全国運動会武術套路競技・女子南拳3位
■1984年:全国武術比賽・女子南拳3位
■1985年:全国武術比賽・女子南拳2位
■1986年:全国武術“魯屏杯”賽・女子南拳3位
■1987年:全国武術比賽-“橘花杯”賽(第6回全国運動会予選)-・女子南拳3位
      第6回全国運動会武術套路競技決勝・女子南拳2位
■1988年:全国武術選手権大会・女子南拳1位/女子伝統器械(軟器械:双鞭)1位
■1990年:マレーシア国際武術フェスティバル・女子南拳1位
■1990年:第11回アジア競技大会北京1990武術套路競技・女子南拳金メダル




なお、この動画がアップロードされているのはアメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララにある中国武

術スクール「Wushu Central Martial Arts Academy」 のWEBサイトである。



■WEBサイト「Wushu Central Martial Arts Academy」


■WEBサイト「広東省体育局/体育志」
         「広東武術競技選手上位獲得者統計表」 ページ


■WEBサイト「Singapore-Wushu.com」
       「Library」 コーナー内
       「Routines(套路)」 コーナー内
       「南拳国際競賽套路」 動作名称紹介ページ

『Wushu Cutie』

カナダナショナル武術チーム(Canada National Wushu Team)の選手選抜試合にて、初級長拳(chu1 ji2 chang2 quan2 / 旧呼称:初級長拳三路=chu1 ji2 chang2 quan2 san1 lu4 / 現呼称:三段長拳=san1 duan4 chang2 quan2 ※但し、今でも初級長拳第三套=chu1 ji2 chang2 quan2 di4 san1 tao2 と呼ぶところも中華圏にはいくつも存在する)を表演するAbigail Chu 嬢(5歳)のムービーを、動画共有サイト「youtube」
にて発見。動画投稿者は、どうやら彼女の親御さんのようです。

WushuCutieAbigailChu01




ムービーの紹介文は英語原文で以下のように紹介されています。
「5 years old Abigail competes at the Canadian National Wushu Team selection. This is a type of hand form called the Chang Quan. 」
最終得点が7.95点で、採点項目がA組4.2点/B組3.75点という、現行最新国際競技ルール方式で得点が発表されているので、恐らく2005年もしくは2006年などの最近の表演だと思われます。

とても5歳とは思えないAbigail に、周りの観客は黄色い声援で大盛り上がり♪
「まだ5歳」という愛らしさと、「5歳なのに大人顔負けの気迫」の彼女の表演を観ると、「小学校入学前から武術を習い始めさせたい」と思う、“未就学児童をお持ちの保護者”の方々がきっといらっしゃるのではないかと思います。


何歳から武術を習い始めるのが最適なのか、については、各個人の気質や環境適応性の発達度などによって差が出てくるはずですが、一例としては、香港ナショナル武術チーム(香港武術代表隊/HongKong National Wushu Squad)の総教練(zong3 jiao4 lian4/ヘッドコーチ)で中国武術協会段位八段の于立光(Yu2 Li4 Guang1)コーチが、「武術を習い始めるのに最適な年齢は、いろいろな要素から見て平均して7歳前後がおおむね妥当だ」と香港メディアにコメントしたケースがあります。


児童の発達過程において、どんなに聡明且つ集団・社会訓練がほどこされ躾の行き届いた児童であっても、6~7歳までは「複数の事態に注意を向けることができる状態」に成長が到達することはない、という事実から考えると、于コーチの発言には一理あると言えるかもしれません。


Abigail の気迫は、「他人に強制されて武術を習っているわけではない」ものだと感じることができますが、そうでない場合には他者からは「如何にして武術を練習させるか」ではなく「如何にして、武術を好きになってもらうか」という働きかけの方が有効なケースもあるのではないでしょうか。


大人と運動しながら遊んだり、「公園遊び」がバランス良く児童の運動神経や運動能力を開発するのには非常に有効かつ大切であることと併せて考えると、当たり前のことなのですが「ひとりひとりの適齢期」を少しでも把握できるように、年長者が努めていくことも欠かせないことのように思います。


「Wushu Cutie」のタイトル通り、まさに「Cutie (可愛い)」ムービーですが、年少者と武術との関わり方をつい考えさせられてしまう一作品でもありますね。