行政書士試験の民法の範囲のなかで
過去問でよく取り扱われるのが制限行為能力者にかかわる出題です。
そのため、行政書士試験の合格のためには重要ポイントの1つといえます。
また、過去問では5肢択一式だけではなく、
記述式でも出題されたことがあるため
正確な記述のための正確な知識が必要になります。
しかし、制限行為能力者は
問われる範囲も広く、
また混乱しやすい内容になっており、
独学だとどこから勉強したらいいのか
迷うのではないでしょうか。
特に迷いそうなポイントは、以下の通りです。
①制限行為能力者の対象となる者は誰か?
②後見/保佐/補助はどのような場合に始まるのか?
③同意権がある法律行為とは何か?
④代理権/取消権/追認はどの制限行為能力者を対象に、どのような場合に付与されるのか?
⑤追認を得るための催告の相手方は?催告の効果は?
そこで、独学で勉強するときに抑えるべきポイントを
2つの表にまとめました。
①②③④について
※1 取消権は、法定代理人(保佐人、補助人)が追認した後は行使できない。(122条)
※2 本人以外の請求で審判する場合には、本人の同意が必要
※3 単に権利を得る行為、義務を免れる法律行為は同意不要(未成年者単独で行為が可能)(5条1項)
※4 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる(5条3項)
※5 営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する(第6条)
※6 後見人は法人でも可能。また、複数の後見人選任が可能(840条、843条)
保佐人/補助人の同意が必要な行為
一 元本を領収し、又は利用すること。
二 借財又は保証をすること。
三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四 訴訟行為をすること。
五 贈与、和解又は仲裁合意をすること。
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第602条に定める期間(土地5年 建物3年 動産6か月)を超える賃貸借をすること。
十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者の法定代理人としてすること。
⑤について
その他、過去問で出題されたこと(可能性がある)
制限行為能力者に係る重要な民法条文も紹介します。
●21条
制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため
詐術(ウソ)を用いたときは、
その行為を取り消すことができない。
※自分が制限行為能力者であることを黙秘することだけでは、
詐術を用いたとは言えません。
●97条
意思表示は表意者が通知を発した後、
行為能力の制限を受けたときであっても、
そのためにその効力を妨げられない。
(例:自動車の購入のための売買契約の申込みをした後、
不慮の事故により成年被後見人となった。
しかし、売買契約自体は有効である)
●526条
申込者が申込みの通知を発した後
行為能力の制限を受けた場合において、
A. 申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又は
B. その相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、
その申込みは、その効力を有しない。
●98条の2
意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に
未成年者若しくは成年被後見人であったときは、
その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。
ただし、次に掲げる者がその意思表示を知った後は、この限りでない。
一 相手方の法定代理人
二 意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方
(例:未成年者が、親の同意のもと、アパートで一人暮らしをしており、
賃貸借契約を締結していたところ、
賃貸人(大家)が賃料の不払いに基づいて賃貸借契約の解除の意思表示を
文書で未成年者に行った場合
⇒解除の効力を生じない。でも、親が解除の意思表示を知ったら効力を生じる)
制限行為能力者のポイントを押さえたら
是非、過去問にもチャレンジしてみてください!
令和3年 問27 選択肢4,5
令和2年 問27 選択肢1,2,3,4,5
平成30年 問35 選択肢1,2,3
平成30年 問45 記述式
平成27年 問27 選択肢1,2,3,4,5
民法の勉強を始めたときに
おそらく最初に勉強を始めるのが制限行為能力者ですよね。
令和4年では出題されなかったことから考えても
私は令和5年には、出題される可能性があると思ってます。
お互いしっかり勉強していきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございます。
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是非ともよろしくお願いいたします!