「京都の寺巡り」

 

1.建仁寺

小泉淳作さんの龍の天井画が公開されているので行ってみました。他にも宗達の風神雷神図、海北友松の龍の絵、竹林の七賢などの襖絵があることで有名ですが、襖絵は全てキャノンによる印刷でちょっと残念。今京都のお寺さんもほとんど印刷になってきたと人から聞きました。(確か以前尋ねた時は、風神雷神以外は本物だったような。)

かなり精巧に作られた襖絵で、ぱっと見は変わらないのですが、少し近づいてみると、エッジがクリアーにしっかりと見えるので、本物でないのが分かります。本物は少し薄ぼやけたような感じです。普段使うところのものなので、これも致し方のないところかと思いますが。

でも、空間の中の絵の迫力は十分楽しめました。

 

2.六波羅蜜寺

こちらは、お馴染みの空也上人像、平清盛像、運慶像、四天王立像など、傑作が目白押し。

寺の中の宝物館みたいなところに納められていて、東大寺や東寺のような寺の空間にないのがこれまた少し残念ですが、この辺も盗難や保存の観点から致し方ないのかとは思います。

その意味で東大寺とか凄いのは、元々のある吹きっ晒しのところに仁王像とかそのまま立っているところ。(少なくとも僕がみた時なので、今はわかりませんが) 元あった祈りの場所から、仏像などの移動して美術館のようなところで見るのは、ちょっとどうなのかと思わなくもないです。

どの仏像も傑作ですが、こちらも少し残念なのは、目線が高すぎるということです。像自体が低い位置に置かれていて、それを立って見るので、清盛像や閻魔大王の像など見下ろしてしまうと、お顔の表情が全く違うのです。

平清盛像は、やや上目で虚空を見ているような視線なので、上からみるとそれがわかりません。また、閻魔大王は下から見上げると下にいる人間を見下ろしているような表情なので、上からみるとそれもよくわかりません。

元あった空間から移動して美術館のようなところで見せる時も、こういうことは考えながら設置すれば、その像の作られた意図や意味がしっかり伝わると思いますが、残念です。

 

3.高台寺

運良く、仏涅槃図が特別公開になっていて拝見できました。(一年に一度だけ一月間公開しているそうです。)2年間かけて修復されたとのことで、600年前のものだそうですが、これも素晴らしかったですね。

表面が少しテカっていて光沢感があるので、最初パッと見た時に印刷かと思いましたが、よく見ると細かな筆捌きも見えてきて緻密に描き込まれた表情が素晴らしかったです。モンゴルで見たタンカの細密画に通じるものがあって、当時から、かなり文化の交流(流入?)があったことは分かります。特に好きなのは、鬼のような怪物が描かれているのですが、仏様より、こういうところに絵師の本領発揮なのかと思ったりもします。

傘亭と時雨亭も、建物として優れているというより、(率直に言えば、かなり粗末)そこで一人籠ったり、客人をもてなしたりしたのかとイメージしながら見るとまた楽しめます。

ちなみに高台寺はねねと秀吉のゆかりの寺で、そんなことを思いながら眺めているとまた風情も増します。

会議前の慌ただしい時間ではありましたが、楽しいひと時を過ごしました。京都はやっぱり楽しいですね。

 

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