昨日、身延山久遠寺宝物館ロビー展「日蓮聖人ご入山750周年記念身延山の12ヶ月伊東正次日本画展」オープニング式典が開催されました。

 

 

雨の中にもかかわらず、皆さんお集まりいただき、一人一人の心のこもったご挨拶もいただき、これからひと月間の展覧会に向けてのご盛会をお祈りいただきました。

 

また

ギャラリートークもそれぞれの絵の前で、その絵についてのコメントを少しお話しさせていただきました。

 

絵はついつい「もの」だと思いがちですが、実はさまざまな「気」あるいは「波動」を発していて、それがそこにあることで、人の精神に良いエネルギーを与えることもあれば、悪いエネルギーを与える場合もあり、そういう意味では、その場の「気」を変える存在なんだというようなこと。(ちょっとその日のトークと違いますが、具体的な内容は省きます。)

 

 

ここからは、この場でのお話ですが、

アートセラピーという概念が近代に生まれ、芸術を表現するさいに、表現者の内面を癒すという作用があることを、ムンクとか表現主義の画家たちが先駆的に表現したわけですが、

描かれた絵がその絵を見る側、鑑賞者側にどのような精神的な効果があるかというアートセラピーという概念はまだあまり提唱されていなくて、それを医療行為として行なっているところは日本にはほとんどないのではと思います。

例えば、絵を購入するさいの購入する理由は、ほとんどの人が、「その絵が気に入ったから買う」んだと思うわけですが、(投資のために買う場合は今は除きます。)

でも、その絵が例えば、「真っ赤」な色でその人が、その絵を毎日リビングにかけていることで、いつも精神が刺激されていて、毎日心が安定していない。ということは起こりうるわけです。

 

逆に、例えば

「この人には緑が多い山の風景の絵の方が、その人が心を休ませることができ、その人の毎日の心の安定に繋がりますよ。健康に毎日生活を営めますよ。」というような精神医療の観点から、その絵を購入することを勧める。ということが医療行為としてあっても良いのではと思いますが、まだまだ発展途上というか、多分科学的に因果関係が証明できないために、行なってはいけない。つまり、医療行為として認められない。ということなんではないかと推測されますが、もう少し、そういう芸術作品と鑑賞者の間の精神医療の観点からの購入なり、鑑賞の在り方を今後発展させていかないといけないのではと、思っています。

アメリカやヨーロッパではすでに、医療行為として用いられているやに聞きますが、まだまだこれからの分野だと思います。

実際に、その絵がリビングにあることによって、その人の精神にどのような影響を与えて、日々の生活に影響を与えているのか。そういうことを医療の分野からの研究が必要だと思います。それは、絵に限らず、インテリアとか建築なども大いに関係しているわけです。

ネズミをコンクリートの空間に閉じ込めた場合と、木材の空間に閉じ込めた場合、コンクリートに閉じ込めたネズミの方が先に死んでしまうそうです。(この実証実験のネズミさんも気の毒ですが。)

 

特に現代建築などで、それがそこに建っていることの周りの人々への精神的な影響は大きいと思います。中国の風水などは、それを経験値的に分析し体系化したものではないかと思いますが。

ということで、話はだいぶそれましたが、そういうことも絵を展示したり、鑑賞する場面での在り方を変えていくのではと思っています。

 

 

展覧会は6月18日まで開催されていますので、どうぞお出かけいただきましたら幸いです。

ちょうどこの絵の真上に、加山又造の龍の天井画があります。そちらをご覧いただき、久遠寺の拝殿をご見学いただき、(結構広いです)数時間ごとに行われる読経の儀式を一部でもご覧いただき、奥の院にロープウェイであがって、日蓮聖人が開山されたときに建てられた祖師堂のある祖廟霊をお参りいただければ、丸一日楽しめるのではと思います。

 

どうぞ、これからの良い季節にお出かけいただきましたら幸いです。

 

展覧会は6月18日まで

9:00〜16:00 木曜日休館

身延山久遠寺宝物館ロビーにて

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