[今月の日本画教室]

 

混食と重色と併置混色

 

日本画は重色(色を重ねて)が基本だと言われています。黄色を塗った上から赤を塗ると、黄色と赤が重なってオレンジに見えるというのが重色です。

 

通常、色を作るときには、混食(パレット上で絵の具と絵の具を直接混ぜる)が使われることが多いのですが、これには大きな欠点があって、それは、2番目の画像のように、どうしても、純色に比べて色が汚くなってしまいます。それを避けるために、色を重ねる1番目のようなやり方か、もしくは、印象派のように色を並べて作る、併置混色が考えられました。

 

これらは、色が濁りにくい。特に、併置混色は、色同士は完全に混ざってなくて、網膜上で混ざっているように見えるので、網膜混合とも言われますが、色が濁らないという点では究極かと思われます。

 

ただし、これらの技法も欠点があって、自分でこの色が作りたいと言っても、重色も併置混色も、自分のイメージ通りの色を作り出すのはかなり難しい。修練が必要になってくるということです。つまり、色は綺麗だけど、色のコントロールが難しいし、混色は逆に、色は少々濁りやすいけど、自分のイメージの色は作りやすいということになります。

 

僕自身は、重色をメインにしながら、混色も使います。要は、それらを自分なりに理解しつつ、自分で1番適した方法を考えていく必要があるかもしれません。

 

追記

一説によると、岩絵具での着色は、一種の点描になっているのではとの声もあります。

なぜなら、岩絵具はつぶつぶなので、下地に色がある場合、その上から点描をしているかのようになっているとのことです。絵の具自体が粒子なので、厳密に言えば、重色も併置混食なのではという気もしますが、その辺は専門家の方のご意見を聞きたいところです。