一昨日、夜7時に電気が消えました。

真っ暗な中、ヘッドランプをつけて
ランタンをつけて料理していると、まるでキャンプのようです。
外に出るとまあるいお月様が夜空にぽっかり。
現代人もたまには、電気のない生活を実感するのも大切な事だと思わなくもありません。

あまりに、現代生活は電気に頼り過ぎ、その電気は原子力に頼り過ぎ。

一度、自分たちの未来の社会をもう一度考え直すいい機会だと思います。

(もちろん、今は非常時、今日の食料や寝る場所に困っている人もたくさんいらっしゃるわけですから、
まずは、目の前のできることを一つ一つクリアーして、それを過ぎてからの話ですが。)



私の知人の出海さん(元日立製作所電力電機開発研究所主管研究員)

からこんなメールをいただきました。
みなさんはいかがお考になりますでしょうか?



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伊東正次様

貴兄のメールをある方が転送してきました。
私の考えを述べておきます。



1. 立場

小生は長年原子力関係の仕事に従事してきました。

その間、推進派に対しても反対派に対しても必ず反論をしていました。今もそうです。

たとえば「日本原子力学会」のメンバーは小生を除いてほとんどすべてが原子力推進派です。

これは自己の職業からの既得権を守ることが優先して自らの意見を
無意識に決定しているためだとかんがえます。

推進派は政・官・学・電・産が団子状に固い絆で結ばれています。

したがってTVにでる「専門家」「学識経験者」の偉い「先生方」もすべて推進派であ
り、つねに現状を安全な方に誘導する

「習性」を持っています。

では反対派はどうか。

特殊なイデオロギーからの「反対」を唱える者は論外として、これはこれでいくらで
も反論しますがここでは除外します。

反対派の多くは、原発は安全でないことを基本的な根拠にしています。それはその通
りです。原発は安全ではありません。

しかし安全で無い原発をなぜ使わなければならないか。それは反対派の皆さんも電力
を使うからです。

原子力は怖い、しかし電力は使いたい、というのではだだをこねる子供のようなもの
です。意見として成立しません。

小生は夏場には月に60kwHていどの電力を消費します。冬は月に10kwH以下です。基本
料金を除いた料金は月あたり

200円以下です。夏と冬のこの違いは冷蔵庫を使うかどうかで決まります。この程度
の消費電力で国民全体が我慢するなら

家庭用電力は現状の数十分の一で済み、原発など要りません。原子力にまじめに反対
するなら、この程度の我慢を覚悟しろよ、

というのが小生の立場。

2. 福島原発の現状とこの先

まあ最悪ではメルトダウンを覚悟せねばならないでしょう。

圧力容器に海水を注入すれば内部に数百トンの塩分が溜まり、それ以上冷却できなく
なりメルトダウンします。圧力容器の

底が抜けることも覚悟した方がよいでしょう。

数日前にある人に出したメールを以下に転載します。


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(ここからは出海さんが他の方に送られたメール)

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皆様

一日あたりの小生の電力使用量は240wH。

これは一日中10wの電球一個を使い続けていることに相当する。

もし日本中の国民1.2億人がこの程度の電力使用量であればそれは120万キロワット。

この値は原発一基分の発電能力に等しい。

つまり小生のような暮らしを全国民が倣うなら家庭用電力は原発一基あれば十分。

しかし全国の電力需要はその百倍を超える。



皆様は少し寒ければ暖房でぬくぬくと過ごし、精神的糖尿病シンドロームに首まで
浸かっていることでしょう。

この非常時に、まさに「非国民」であります。



計画停電だそうです。

全国の自販機一切を止めると電力不足は一挙に解決する。そうすればと思うのだが
関連業者の反発があるのでそうもいかない。

カダフィのようなあるいは金正日のような独裁・強権政治であれば簡単に解決する
のに民主主義はいやだね。



原発はどうなるか。

さて福島原発。その前におさらい。

1kwの電気コンロのヤカン(効率100%とする)の水は毎秒0.5cc蒸発する。これは海
水でもほぼ同じ。

ヤカンが空だきしないように外部から毎秒0.5ccの海水を供給する必要がある。

0.5ccの海水は約15mgの塩分を含み、これはヤカンにたまる。54g/hの割合。

整理すると、1kwあたり54g/hの割合でヤカンに塩分は蓄積する。



電気出力100万kwの商用原子炉はおよそ400万kwの熱を出す。そのうち100万kwは電
力に、残りの300万kwは海水へ放出。

この運転中の原子炉が緊急停止すると、熱出力は約1/10の40万kwまで低下するが決し
てゼロ出力になるわけではない。

この40万kwが残留熱。通常は残留熱除去システムが働いて当分の間冷却を続けねばな
らない。このシステムが故障。

つまり1kwの電気コンロ40万台分の熱が出ている。

これを海水で冷やすと、20t/hの割合で炉内に塩分が蓄積する。数時間で炉内は塩
分で満たされ冷却不能になる。塩分と燃料は一緒に

混ざりながらメルトダウン。圧力容器の底が抜けチャイナシンドロームに。



第一原発一号炉はたしか46万kwの電気出力。炉停止から数日経つので残留熱は一桁
程度(この記憶は曖昧)低下しているはず。

としても、毎時1t程度の塩分が蓄積するはず。



ということでここしばらく注視しています。

炉に穴が開けば第一原発のみか第二原発にも作業員は接近できず、緊急停止した炉の
すべてがメルトダウン。



小生、原子力の推進派にも反対派にもけんかをふっかけて過ごしてきた質です。

これからが楽しみ。

すでに福島第一の一・三号炉は燃料の周りに塩分がこびりついているはず。

これから塩と燃料が団子状態で固まり発熱でその内部から溶融が始まり圧力容器も熔
かしていずれ大量の放射性物質が世界に放出される。

小生、このシナリオが現実になることを望んでいるわけでは無い、ということはなく
大いに期待している。

精神的糖尿病の非国民に対するカンフル剤として。




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(以下、僕、(伊東)のコメント)

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1、過激ですが、もっともなご指摘だと思います。

一日10ワットの電球24時間分の電力で自分自身が生活できるとは
僕は思えないし、国民全員がそういう生活をできるとも思いません。

でも、
冷房をなるべく使わないとか暖房も減らしたり、
(一年中ついているエアコン空調など病院とか福祉施設以外は必要ないと思います。)
乾燥機を止めて外で干すとか、電気はなるべくこまめに消したり

例えば、そういう事で
3時間の停電が2時間になるならそれはそれでいいし、
暖房止めれば、電気はつくというのであれば、そのほうがいいし、
実際、昨日は寒かったため、暖房の利用が増えて、
計画停電を全グループで実施したとのことでした。

その際に、決め手となるのは、
今までは、そういう注意を喚起して、任意に実行してもらっていたわけですが、
せっかくのいいチャンスなんですから、
行政がリーダーシップを発揮して、
電気の消費最大限を決めて、それ以上の消費になると、電気の供給を止める
とか、そういう対応をすれば、金正日がいなくてもいいと思います。


現に被災地ではみなさん、それこそ配給や割当で生活しているんですから
東京だって、大阪だって、今は非常時です。

是非、強制的に自動販売機の半分は電源を落とすとか、
コンビニの夜の蛍光灯は半分にするとか、
そういう強制指導があっていい段階だと思います。

必要な電力は確保する。なるべく、生命維持に必要のない電力は抑える。
という精査する段階に入ってゆくと思います。
今はそんなことは言ってられないから、全部、3時間停めているわけですが。

今回の件、マスコミは「混乱があった、情報が不足した」と非難しますけど、
僕は、良く、この措置に踏み切り、それなりに混乱を生じながら
これだけの混乱にとどめ、整然と日常生活が行われていることは、
いろんな意味ですごいと思います。
(今のところパニックとか、それに乗じての暴動や事件があるわけではありません。たぶん。)



2、それと、もう一点


出海さんのご指摘では、現代人の選択肢は次の2つとなっています。

ア、大量の電力を消費して、快楽的に生きるためには原発やむなし。
(事実、こうなっているわけです。)
イ、50年前に戻って、電力をほとんど消費しない生活をする

でも、

ウ、そこそこの電力消費(上限値を定めるなど)で、なるべく原発に頼らない
代替エネルギーへ転換(専門家から見ると笑止といわれるかもしれませんが)


これは、この事故で必須の課題となったと言えると思います。
電気を止めるか、原発を止めるかではなくて、
なるべく早い時期に、原発以外の発電を実行化してゆくことが大切かと思います。

でも、たぶん、この停電が長期間続けば、
(福島は1、2ともに今後、数十年間は立ち入り禁止になるでしょう。)
人から聞いた話では、その南の火力発電所もその区域に入っているそうです。

そうなると、すぐに電力が供給される見込みは薄い訳ですから
自分ちで発電する機械をどんどん生産すれば
それを買い求める人がたくさん出てくると思います。


そうすれば、消費の喚起にもなるし、クリーンエネルギーの普及にもなるし
一石二鳥

電力が回復しても、しばらくこの計画節電を実施して
その普及をはかった方がいいような気がします。

だって、二箇所の原発がここ数年から10年単位で起動できないんですから
それを関西から回すとか、中部から回すのは無理があります。

ちなみに、僕の愛媛の実家では

屋根にソーラーパネルがあって、
風呂のお湯と、台所のお湯はそれでまかなっています。
それがついたのが、僕の高校生とかそれくらいの時期ですから
もう30年くらいも経っています。
それも、なんかソーラーパネルの設置は高いという認識があるみたいですが、
もちろん、すべての電力をソーラーパネルでまかなおうとすると数百万になるのかもしれませんが、
実家はお風呂と台所の湯だけで、数十万だそうです。

ということは、その時に本気でそのソーラーパネルを全国の各家庭で
普及化していれば、少なくとも一般家庭の電力消費のかなりの量を削減できていたのでは
とも思います。もちろん、僕は専門家ではないので
具体的な数値は示せませんが。

ということで、

出海さんのような、御用学者の保身にとらわれない貴重なご意見を生かす
次の手に進めればいいと思うのです。


3、原発の現状については、コメントする事ありません。
たぶんその通りになるでしょう。


ということで、
本当はもう一つ喫緊の課題
放射