気づけば、逃げることに慣れてしまっていた。
大きな理由があるわけでもなく、ただ「いまじゃなくていい」と先送りにする癖だけが残った。
やれば済むことをやらず、その結果が積み上がっていくのを黙って見ていた。
なまじやってできてしまった経験は、出来ない自分に「やっていないだけだから」という最高の言い訳を残していった。
周囲が変わっていくたびに、「自分には関係ない」と言い聞かせていた。
本当は関係ないはずがないのに、向き合うと面倒になるから距離を置いていただけだ。
そこに深い理由はなくて、ただ浅い逃げが習慣になっていただけだ。
素晴らしい一日を無為に重ね続けた今、いつか注いだ水はすでに腐りつつある。
「戦わなければ負けない」
――そんな当たり前を盾にして、どれだけの時間を失ってきたのだろう。
次回はハンターさんです。お楽しみに。