MEN 同じ顔の男たち
(2022年 監督: アレックス・ガーランド)
テーマは愛?
文章に掘り起こそうとしても、何とも形容し難い映画である。
一言で表すとしたら「幻想的、奇抜、グロい」とも言えるが、根幹のテーマは「愛」である。
愛がどのように表現され、どのように訴えかけてくるのか?それは当事者の次第のお話しである。
序盤はとても綺麗なイギリスの田舎風景に癒されっぱなし。
緑の草原やマイナスイオン溢れる森の中を、主役のジェシー・バックレーが散策する風景は、あまりに単一な緑一色で、すでにそこが異空間であるかのようだ。
さらに、静養に訪れた邸宅の庭のリンゴを齧ったとこで、異空間へのスイッチが入った模様。邸宅の管理人に
「黙って食べたのか?」
「ええ」
「断りもなく勝手に食べたなら、君は盗人であり、罪人だ」
たった3行のこの会話だが、全ての世の理を現してるように思える。
ネタバレ
映画は、夫に別れを切り出し言い争いから夫を失う女と、死ぬことは抗議の手段であり、さながら自殺してしまったことは不本意であろう夫が、何とか元鞘に収まるべく元妻に迫る内容である。
ただ迫り方が歪で、何度も何度も生まれ変わりを体現し、やっと甦りを果たしたよう。これをどう映像化して表現しているか、私の口からはとてもじゃないが言えない。。Orz
A24の映画はどれもそうだが、見せ場となるシーンをさらりと誇張なく観せてしまう。
本当はもっとバックミュージックや細かいカットで、描写に凄みを与えても良いはずなのに、この映画でもただの風景のワンシーンかのように、惜しげもなく何度も出すのだ。
終盤、正直言って観てる方がその場にいたたまれなくなる場面がつづく。生理的な嫌悪感を抱かせること、それこそがA24の狙いだとしても、開いた口が塞がらないとはこういうのだろう。
そうした追い詰め役を担っているのが、悪魔のようなイメージの石像であり、初めて耳にする名前も特徴も、劇中では明らかにされない。
妻を攻める理由は、罪人となった者への処罰か?
妻にとって夫以外の男は、皆同じレベルなので顔が均一に見えるのか?
リンゴを齧ったイヴは、知恵をつけたことで罰せられるのか?
果ては異空間には魔物しか存在しないので、一人何役もこなすのか?
とにかく狭い邸宅の中で起こるだけのことあって、敵の正体もラストも知ってしまえば、「そうなんだ。。」と小じんまりな印象は拭えない。
ただA24は、大手映画会社が創れないものを創っているのは確かだ。ないものを作る、それこそ素晴らしい。

