監督 アンジェイ・ワイダ
出演 クリスティーナ・ヤンダ
パヴェウ・シャイダ
ヤン・エングレルト
ヤドヴィガ・ヤンコフスカ=ツェシラク
**マルタは、ワルシャワ蜂起で息子を無くしてからは夫とは微妙な距離が出来てしまっていた。夫は医師でマルタが秘かに病に冒され死期が近づいていること告知できずにいた。**

原作のイヴァシュケヴィッチの短編小説に『大理石の男』などで撮影監督をしていたE・クウォシンスキの死を物語に絡めたオマージュ的な作品。そして『大理石~』で主人公アグネシュカを演じたK・ヤンダが『菖蒲』の主人公マルタでクウォシンスキの奥さんというなかなか内輪なお話。ヤンダのモノローグ、『菖蒲』の撮影風景、映画『菖蒲』の世界と3つの物語が重なり作品としては少々複雑。この3つの世界でそれぞれ死に対してアプローチしながらも絶望感は漂ってはいない。ラストではヤンダは夫の死に対する悲しみがフラッシュバックしてしまい演じるを放棄し撮影現場を抜け出してしまうシーンがある。

しかし、現場をあとにしたヤンダが拾った車の車内にもカメラがあり、あくまでもこれは映画なんだと言う事を見せつけてくれる。生があった上での死なのだろう。絶望感だけでは終わらせない。
政治的なものや人種的なものが絡んだ大作でもないが、映画監督ワイダの才能と感性が傑出した傑作。
