
永遠の人(1961年)
監督 木下恵介
出演 高峰秀子
仲代達矢
乙羽信子
佐田啓二
加藤嘉
**阿蘇谷の大地主小清水平左衛門の小作人草二郎の娘さだ子は、恋人隆が戦地から戻ってくる日を待ち続けていた。ある日戦地から平左衛門の息子平兵衛が先に戦地から戻って来た。脚を負傷し除隊したためだった。村では歓迎会が開かれ、さだ子と隆が恋仲であった事を,平兵衛はその時初めて聞かされた。以前から、隆の器量を妬み、密かにさだ子に思いをよせていた平兵衛は、後日無理やりさだ子を犯した。さだ子は川へ身投げをするが、隆の兄力造に助けられた。やがて、戦地から隆も戻って来た**

木下組の映画は安定して楽しめる作品が多い。監督の力量はもちろんだろうが、『永遠~』の制作でも役者陣も、撮影の楠田、音楽の木下忠司、美術の梅田と携わったスタッフの仕事も確かなように思えた。ただ木下映画の中には時々前衛的とも思える演出が取り入れられていたりもし、この『永遠~』の場合では音楽が少し実験的なものだった。物語は、阿蘇山の雄大な風景を映しながら展開される夫婦の愛憎劇だが、音楽は熱いフラメンコギターが流れていた。しかも九州弁のヴォーカル付きで。なかなか斬新だと思う。当然、かなり評判は悪かったようだが、嫌いじゃない。無いほうが良かったのでは??と思ったりもするが、もっと大胆な融合を試してもらえても面白かったかも。実際、章と章のつなぎ目などで挿入される、極力邪魔にならないような、控えめな取り入れ方だったので、逆に少しだけ中途半端な印象も持ってしまった。
高峰、乙羽の演技はやはり表情が豊かで仲代、佐田の個性も画面から十分伝わってきて楽しめた。スキの無いドラマがラストまで展開されるので、音楽が気にならない人には木下映画の傑作の一つだと思う。