
トスカーナの贋作(2010)
監督 アッバス・キアロスタミ
出演 ジュリエット・ビノシュ
ウィリアム・シメル
**イギリス人作家ジェームスは自身の書いた贋作と本物についての本の講演にトスカーナの田舎町に来ていた。その講演中、途中退席した子供連れの女性に連絡先を渡され講演の後に会うになる。2人は当ても無く車で散策していると、彼女が”面白い場所があるから”という誘いにジェームスも”9時までに戻る”という条件付きでつきあう事になる。2人が立ち寄ったカフェで夫婦と間違われた事をきっかけに、夫婦として演じ始める**

キアロスタミといえばいつもプロの役者を使わずスタッフやエキストラに演技させて映画を撮っていた人だが、今回は初めて役者を使っている。ただし主演のジェームスを演じたW・シメルという人は本業はオペラ歌手で演技の経験は全く無かったらしい。しかもイタリアで撮影をした事を考えると何とも監督のこだわりが伝わってくる。ひょっとしたら、連れ回される男性の役だったシメルの困惑した表情を撮るために、積極的な女性を演じたJ・ビノシュにアドリブめいたものを至る所に挿入させたのではないのだろうかと思ってしまう。
原題を翻訳すると”公認されているコピー”といったところなのだろうか。
実際にあったら、気持ち悪い話だ。知り合ったばかりのおばさんに誘われてドライブに行ったら、だんだん夫婦のような会話ばかりされるようになり、何となくつきあってそれっぽい会話をしてたら、最後は、やっぱりベッドがでてくるし、、、本国イランではやはりこの手の映画の制作は難しいのかも。夫婦を演じる2人のやり取りはどこからどこまでが演じているいるのか分からなくなるような作りになっているので観ている側は混乱してしまう。観た人によって解釈もすごく変わってきそうだし、よく解らなかった。この男性と女性は恋愛の象徴的な存在で虚構と幻想によってなりたつ”恋愛のシステム”といったところなのだろうか。偽物が本物になってしまう時があるように、本物が偽物になってしまう時もある。2人の演じた”偽夫婦”も本物に変化してしまう瞬間があったのだろう。しかし本物になった”偽夫婦”もすれ違いが生じ、また”偽夫婦”に変化し手しまう。幻想が倒壊し偽物が偽物でしかなくなった。
ただ、ジェームスは”9時までに戻らないと列車に乗り遅れる”と言っていたが今回のトスカーナでの講演も遅刻して来ていた。という事は、、、。