諫山創  完結
 

 

 

 

 諫山先生インタビュー

 

一部抜粋しています

出典元 別冊少年マガジン 2021年6月号

 

別冊少年マガジン 2021年6月号 [2021年5月8日発売] [雑誌]

 

 

──『進撃の巨人』完結、おめでとうございます!最終回の原稿を描き上げた今のお気持ちは?

諫山先生 まだ単行本化作業が残っているので「締め切りのない生活」がどういうものかが真にわかっていないのですが(笑)、最終話が世に出て一段落した感はあります。ただ、まだやるべきことはいくつかあって。

──え!?何があるんですか?

諫山先生 最初に描いた最終回のネームは、ラストページが5コマくらいに細かく分かれていたんですが、自分としては「うーん」という煮え切らない感覚があったんです。その時は丘の木に向かって3人で走っているシーンが最終ページでした。それを担当編集者、バックさん達との打ち合わせを終えた後で急遽変更しようと決めて、ペン入れをしながら別マガ5月号に掲載したバージョンにしたんです。別マガでは51ページまでが掲載できる限界でしたが、単行本ではオマケページ含めて8ページ増やせるので別マガ掲載時に描けなかったラストまでやりたいです。
 

 エレンの行いは最低最悪の手段


──最終回へと至る流れも衝撃的でした。特にエレンが……。

諫山先生 その辺りの反応は網羅する勢いでチェックしてます。素直な感想は人の数だけ全てが正しいです。あの描き方だとアルミンが虐殺を肯定してると捉えられておかしくないと思います。僕の描き方が未熟でした。エレンが行った最低最悪の手段をアルミンは肯定した訳ではありませんが、本人の意思とは関係なく大虐殺の恩恵を受けてしまう。アルミンは到底理解し得なかったエレンと最後の別れを迎え「虐殺者になってくれてありがとう」という強い言葉で自分も共犯者であると伝え、少しでもエレンに寄り添いたかったのです。終盤は特に自分が描くには至らない難しいテーマであったことを痛感しましたし、それらが漫画で表現しきれなくて本当に後悔してます。11年半やってきて、最後の原稿を描き上げた時は「これでみんなに喜んでもらえる」と本気で思ってましたが、思い上がってたんだと思います。今まで応援してもらって最後にがっかりさせてしまった方々に申し訳ないです。
 

 11年半の連載で生まれた数々の思い出


──テレビアニメがスタートしたのも大きな思い出だったのでは?

諫山先生 テレビアニメ版はもうひとつの「進撃の巨人」とも言える作品で、そちらを観て作品を知ってくださった方も多く、僕自身も作品を追体験できて新鮮でした。それとキャラクター達が監督や声優さんによっていい意味で僕の手から離れて、独立した"生命"として動き始めたのも初めての体験で面白かったですね。

 

 

 

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