2017年1月、メディアの予想に反しドナルド・トランプがアメリカの大統領に就任しました。
 同氏は、不法移民の流入阻止を公約に掲げ、メキシコとの国境沿いに壁を建設し始めました。 

 2020年1月、イギリスはEUから正式に離脱しました。その一番の原因は域内からの移民を制限できないことでした。
 ちなみに、これについてはかなり前にブログで書いていたので、もしよろしければご覧ください。
▶︎https://ameblo.jp/ws3r7itate89/entry-12560860801.html



 そして、あのフランスでも移民政策の転換が起きる可能性が浮上しました。


  •  最大野党の共和党の公認候補、ペクレス氏は13日集会を開き、公約として掲げている不法移民の規制強化などを訴えた上で、フランス初の女性の大統領を目指す決意を表明しました
  •  最新の世論調査の支持率ではマクロン大統領が24%と首位を維持し、ペクレス氏が15.5%、極右政党のルペン氏が15%、極右の評論家のゼムール氏が14.5%
  •  ぺクレス氏がマクロン大統領とともに決選投票に進んだ場合、極右も含めた幅広い層をいかに取り込めるかがカギになるとみられています。


 記事に書いてあるように、最大のポイントは支持率2位〜4位の候補全員が内容に差はあれ移民受け入れの制限を主張しているところです。


**移民政策への態度

①ルペン氏


国境を再設置し、シェンゲン協定から離脱する。  →シェンゲン協定とは、ヨーロッパの国家間において検査なしで国境を通過できる協定。*もっとも今回はEU絡みの公約はあまり主張していないらしい。

不法滞在外国人の合法化や帰化を不可能にする。

合法的な移民を、年間合計で1万人に削減する。結婚によるフランス国籍の自動的な取得のような、家族の囲い込みや関連付けによる自動的な国籍取得制度に終止符を打つ。


②ゼムール氏


寛容な受け入れ政策に反対

移民には仏への「同化」が不可欠だと主張し、子供に対し、イスラム教徒に多い「アフメド」などの外国名ではなく「フランス人の名前を付けるべきだ」と訴える。

・生活保護をはじめとする各種手当は仏国籍者に限定すべき。


 前記3名のうち、大統領選で勝利する可能性があるのはペクレス氏であると思っています

 と言いますのも、確かに支持率自体は拮抗しています。

 しかし、ルペン氏は「極右政治家」というイメージが定着しています(それが正しいかは別)。
 前回の大統領(2017年)では、一回目の投票でマクロン氏(23.9%)に次ぐ得票率(21.4%)を獲得しました。しかし、決選投票ではマクロン氏(66%)に大差をつけられました(33%)。
 フランスの極右アレルギーは思った以上に強いと言えます。見方を変えれば、マクロン氏は「ルペンはイヤだ」という消去法で選ばれたわけです(笑)。

 同様のことはゼムール氏にも言えます。同氏はルペン氏よりも過激との指摘もありますし。また政治とはほぼ無縁だったことも不安要素になりえます。

 その点、中道右派・共和党のペクレス氏の方が幅広い支持を集めやすいわけです。

 とはいえ、マクロン大統領に勝利するためには(マスコミの言う)極右からも一定数の支持が必要となるでしょう。同氏は既成二大政党(共和党、社会党)の公認候補ではありませんし。

 そして、ペクレス氏と(マスコミの言う)極右をくっつける要素になるのが移民受け入れの制限です。ルペン氏やゼムール氏の支持者が重視している政策だからです。

 仮にペクレス氏がマクロン大統領と決選投票に進んだ場合(あるいはそれを見越して事前に)、公約たる「不法移民の規制強化」の内容をより踏み込んだものにする、あるいは、合法移民の条件厳格化、さらには受け入れ上限の縮小などを主張するかもしれません。

 もちろん「極右」と言われてはまずいので、ルペン氏やゼムール氏ほど厳しいものにはならないでしょう。

 そのペクレス氏が大統領選挙で勝利したら・・。フランスでも寛容な(?)移民政策からの歴史的転換が起きるのです



 さて、上記の出来事は私たち日本にとってどのような意味があるのでしょうか。

 それは、

移民受け入れ拡大は失敗に終わることを示した先行事例

である点です。

 と言いますのも、第二次安倍政権以降、移民の数は急激に拡大しています。
 また、2018年には出入国管理法改悪が強行され、現在はそこで導入した「特定技能2号」の対象拡大が画策されています。
 ちなみにこの点についても以前ブログで書いたので、もしよければご覧ください。

 先行事例が失敗という結果に終わっている以上、何がなんでも、全力で阻止しなければなりません