風が強く吹いている 三浦しをん
毎年お正月にテレビで放送される『箱根駅伝』興味がなかったけれど、世の中の多くの人は好きだったんだと、この本を読んで周りに聞いてみてわかりました。箱根駅伝に大部分が素人でしかも補欠なしの必要最低人員の10人で出場する、ということが本当に可能かどうかは関係ない。だって、物語だもの。実際にはとんでもなく無理だということなんてわかってる。
この本を読んで、この物語が嫌い、っていう人は年齢、性別にかかわらずいないんじゃないかな。
私は単純に好きですこの物語。本当なら一気読みしたいところ、でもそうするにはちょっとページ数が多いのと、途中からは読み終わるのが惜しい気がして、ところどころクスっ(^_^)として、終盤ウルウルしてしまうそんな本。
登場メンバー10人それぞれ個性が際立っていて、実はその中に外見だけでなく性格もそっくりな双子がいるんだけど、そのそっくりな双子さえ、最後には個性の違いが明らかになってくる、この辺りはすごくうまい。
箱根駅伝に出場する、それだけで快挙で、優勝するわけない、だから物語のクライマックスはそこまでかと思いきや、そこはまだ物語の6割程度。これだけ残して作者はこれから何を語るの?といった心配は無用でした。箱根駅伝当日の2日間の物語はさらに面白かったのですから。
読んでいて私が身につまされたのは、才能のある人はすぐにわかる。残念ながら世の中には神の祝福を受けたほんの少しの人とそうでない多くの人がいるということ。それは走ることだけでなく、どんな分野でも同じ。どれだけ努力しても届かないものがある。では結果が伴わないと無意味なのか?そうじゃない、どこに意義を見出すかは人それぞれ、あえて別の道を探すのも人それぞれ。
三浦しをん、これからこの人の本を読むのがますます楽しみ!!