スーパーのお菓子売り場で
見てしまった  

👁️👁️ 





おばあさんがひとり、
菓子棚の前に座り込んでいる

棚から菓子袋を引っ張りだしては
次々と足元に置いていく
(それは一番下の棚だったから)




ナニゴト?






おばあさんは
陳列棚の手前の菓子袋を全部床に出し
さらに奥をのぞいて手を入れ、
一番奥のひと袋を取り出して
自分のカゴに投入した😱



何がなんでも棚の奥の商品を狙う人は
別にめずらしくもないが、
床に置いてまで、なんて
初めて目撃した



次におばあさんは
床に置いた袋を元に戻し始めた





ちょっと看過できないな、
ひとこと言わなくちゃ┅


と思って 
二三歩近づいた時、
それを躊躇せざるを得なくなった



見ると、
おばあさんはかなりの高齢だった
痩せて小さく、背中も丸く
何より、杖を持っていた
杖があるなら足腰も悪いはず

注意どころか、
荷物を運んであげたくなりますよ




今、このおばあさんに
私が注意を促したところで、
それがいったい、
どれだけの世直しになる?








ほんの少し迷って
声をかけた





 
🤡「お手伝いしましょうか?」




👵「はぁ┅」




おばあさんの顔は見ずに
袋を片付けながら一方的にしゃべった


🤡「床に落ちたものは不衛生ですから
  後で店員さんに連絡しときますね。」





これは私からの、
今ここで出来る精一杯の
注意喚起だった

その時、
しゃべりながら私の目に入ったものは
骨と皮だけのような
細い細いおばあさんの手首で┅┅







本当は店員さんに言うつもりなんかない
商品のお菓子類の
完璧な包装と個パック、
スーパーのピカピカの床

衛生なんて、
どうってことないんだ




それよりも
このおばあさんの、
細い細い骨と皮だけの手首が

戦中戦後の混乱を、

焼夷弾と食糧難の中を、

生きてきた手なんだと思えた途端、

全部、

ノーサイドになった







このお菓子がお好きなんですね、

一番奥の商品が欲しかったんですね、

気をつけお帰りくださいね、

胸の内でひとりで会話していた





自分を含めた日本国を待ちうける
高齢化社会への
漠然とした切なさだけが残った日になった