「封じ手」(ふうじて)とは、対局の中断時に有利不利がでないよう、次の手をあらかじめ記しておく方法のことです。
ルールとして説明するのはちょっと違うとは思いましたが、一応説明いたします。


プロの公式戦では、持ち時間が8時間以上あるタイトル戦で2日間に及ぶ対局の時にしか封じ手をする場面は現れません。
「次の一手名人戦」などのショー的要素のある公開対局では、1局の対局中に封じ手は何度も現れますが、

これはクイズ的なものなので本来の封じ手とは意味合いが異なります。

封じ手をするタイミングは1日目の規定時刻に手番の者が行うこととなっています。
規定時刻を過ぎても、すぐに封じ手をしなければならないわけではなく、

自らの持ち時間が残されている限りは封じ手を行うタイミングは自由です。
規定時刻の前に封じ手を行う場合は、規定時刻まで持ち時間を消費したとみなされます。

実際の流れ
1.封じ手を行う際には、立会人に「封じます」などと言い、封じ手用紙2枚と封筒を2通受け取ります。
  この時に、持ち時間の消費は止まります。
  封じ手用紙は、規定時刻に近づいたら記録係が局面図を手書きで2枚作成します。
  局面図以外には棋戦名と先手・後手の対局者名が書かれています。

2.封じ手用紙を受け取ったら別室に移動し、赤ペンで動かす駒を丸で囲み矢印で移動先を示します。
  もう1枚も同様に作成します。

3.2枚書き終えたら、それぞれを封じ手の封筒に入れ封をします。
  封じ手の封筒の表には「棋戦名」「対局会場」「両対局者名」「立会人名」が記載されています。

4.対局室に戻り、封筒のフタ部分をまたぐ箇所に両対局者の署名を2通とも行います。
  2通のうち、1通は立会人が保管し、もう1通は対局会場の金庫などに保管されます。

5.2日目の対局開始時刻前に両対局者は1日目の手順を並べ直します。
  大抵の場合、対局開始時刻をほんの少し過ぎた辺りで、封じ手がされた局面まで進みます。
  その局面まで進んだら立会人がハサミで封筒を2通とも開け、同一であることを確認して、

  封じ手を読み上げ、両対局者に封じ手用紙の表を見せます。

6.読み上げられたら、封じ手をした者が着手をして、2日目の対局が開始されます。

なお、立会人が封筒から封じ手用紙を取り出し、立会人自らが封じ手の中身を確認する前に、

対局相手に見せるということもあったので、裁量はある程度立会人に任されているものと思われます。

7大タイトル戦の内、2日制のタイトル戦は名人戦、竜王戦、王位戦、王将戦の4棋戦です。

持ち時間は名人戦のみ各9時間で、他は各8時間です。
王座戦(各5時間)、棋王戦(各4時間)、棋聖戦(各4時間)は1日制なので、封じ手はありません。
なお、順位戦は持ち時間が各6時間の1
日制なので終局が日付をまたぎ深夜におよぶことも多々あります。


当小説に出てくるタイトル戦「将聖戦」(当然、架空です)は2日制なので封じ手があります。

ちなみに、「古畑任三郎」第1シリーズ第5話「汚れた王将」では「封じ手」が重要なトリックとして用いられていますが、現行のルールでは不可能です。
しかし、この回は「古畑」と「コロンボ」が夢の共演を果たしているミステリーファンにはたまらない回です。



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