どうすれば文章が書けるようになるのか、常日頃から悩んでいる。現実的に書けなくて困っている。しかし本当に困っているのだろうか?実際には書かなくてもなんとかごまかせているだけなのではないだろうか?例えばすべてのやりとりがメールで、会議が皆無で、文章ベースでのコミュニケーションがすべての評価であったとしたら、もっと文章を書いているのではないだろうか。だから今の自分に課せるべき課題は、とにかく文章の量を書くことなのだ。
例えば同僚と仕事について打ち合わせしたい場合、会って話すより先に、メールでまとまった量の情報を書いて送るべきだ。相手は嫌がるかもしれないが、少なくとも伝えたいアイディアがあることについては理解してくれるだろう。先方は返事をくれるかもしれないし、立ち会って話をしたがるかもしれない。しかしその結果や結論、行動について、再度メールで情報を送信するべきだ。これもまた文章を書くことへの訓練だ。
双方向性と片方向性
文章を書くのは集団で行動する際にとても重要である。かつてそれは言葉を投げかけるだけでよかったのだが、今はメールがその手段である。文章を通じて情報のやりとりをする必要がある。言葉であればほんの1分で済むことが、文字入力だと、推敲の時間も含めて10分掛かるかもしれない。会話すれば、双方向のやりとりで効果的に意図の交換ができるかもしれない。すでに理解していることは伝えなくても良いし、詳細に尋ねたい点は聞き直してくれる。言葉の情報以外のニュアンスや感情など、付帯する情報でさらに効率が良くなるかもしれない。
しかし文字で入力するべきである。これは将来、自分が多くの人と仕事をすることになったとき、役に立つ。一緒に立ち会って情報をやりとりできるのは人数的にたかがしれている。数十人規模のチームが限界である。100人規模の集団に意図を伝えるとき、もはや文書でしか情報伝達できない。映像や音声で表現できるじゃないかと思われるかもしれないが、それは単方向の情報伝達でしかないため、結局は文章を書くのと似ているのである。一定の情報を積み上げ、情報の種類と量を取捨選択し、構造化して、時間方向に並べ替えて伝達する。これは文章の構造である。
そしてもちろん、文書の究極の形は、時間と空間を超えて、自分の知らない誰かに向かってメッセージを出せることである。これはなかなか手応えが得られずに辛いかもしれない。しかし自分の価値を正しく認めてもらうためには、強く共感してくれる、遠く離れた誰かの存在が必要である。
量を書くためのコツ
文章を書くときには、書いた文章を読み返してはいけない。重要なのはこれから書くべきことを考え、視線を前を向け、過去には注意を向けないことである。言葉は音声で喋る場合は振り替えれないだから、必然的に頭のなかで注意を向けてるのはこれから話すことになる。もちろん大きな構造はあらかじめ決定しておく必要があるが、少なくとも書き始めた段階では振り返らず、一気に考えの流れがよどまないようにしながら書くべきである。
パソコンに向かうと書けなくなるかもしれない。それはパソコンでwebをだらだら見る経験が多くて、画面を見るとついつい書くより読む方に意識がスイッチしてしまうからかもしれない。だから書くと決めたら画面を書く専用の環境にしてしまうことだ。アプリを全画面表示にして、余計なタスクバーもどこかに追いやってしまった方が良い。今は書くモードだよということを体に覚え込ませる必要があるのだ。もしパソコンに向かって書こうとするとなにか苦しく感じるのであれば、ウォーミングアップとして、観葉植物に向かって話しかけてみるのも良い。言葉を出すことで覚醒するし、時間方向をさかのぼらないための訓練になる。
修正も一段落した後に一気に修正するべきだ。そこでマイナーな修正誤字脱字などもあるけれど、注釈が増えたり、構造を変えようとなった場合は、エディットで直すのではなく、どちらかと言えば、エッセンスを取り出して書き直した方が良い。
書き直すのは大変である。しかしこの労力を惜しまずに書けば、推敲の品質はとても高まる。絵や音楽も同じだろう。軽微な修正であればいいけど、なんかイマイチ感が全体的にあふれているときは、書き直した方が良い。今自分の能力を考えると、下手な修正より、書き直す方が楽にすら感じる。これはなにより絵を描いてきた経験が豊富で、絵を描くこと自体は楽だからだ。つまり、文章術もこれと同じぐらい文章を気軽に書き直せる力を持つことが重要なのではないかと思うのだ。そのために必要なのが、とにかく量を書いて、文章を書く筋力、バイタリティ、スタミナを付けることだ。
良い文章を書くために、何度も必死に直すことになるかもしれない。しかし本人で何度推敲しても、結局品質の上昇はたかがしれている。第三者に見せて修正してもらう、あるいは意味が通じたかのフィードバックをもらうことが重要である。そのためには人に見せるための文章のたたき台が必要になる。その数が重要になる。だから文章は人に見せることを前提として書かれなければならない。その一つの良い方法がメールだろう。
量を書くには思考力・記憶力が必要になる。
現実的には量を書くためにはそれなりのアイディアの量が必要である。書くべきアイディアを絞り出さなければならない。あるいは書くべき内容を探して体験してきて、書かなければならない。書くために日々の行動を起こす、そのような態度すら必要である。情報に対して疑問や問題点を見つけたり、他の情報との関連性に着目したり、といわゆる思考力が必要となる。これを鍛えるためには、よりよいアイディアを出そうと考えるのではなく、とにかく書いて情報を出し切って、飢餓状態になってから情報を探すことである。自分にはもう書くべきアイディアはないと思うぐらいに状態になってからが思考の訓練のスタートである。思考力がつけば、必然的に書く能力は上昇する。
スピードとバイタリティ
めざすべきはスピードである。書くに当たって必要な時間が短ければ、多くの仕事ができるし、仕事も早くなる。スピードを高めるためにはタイムリミットを定めることだ。2000文字を書こう、と決めた場合、それを例えば15分でどれだけ達成できるかどうかを確かめよう。この訓練を行うと、自分は15分あればどのような作業ができるのかの見積もりができるようになるし、目的の量の文章を書くことを依頼されたときに返答までの時間も見積もることができるようになる。なにより、15分1ラウンドとして、自分の体力や持久力の目安にもなる。集中力が高い日なのか、疲労が溜まっているのかどうか、そういったバロメーターにもなるはずだ。だから2000文字毎日書こう。書き始めてから15分すぎたら、強制的に一時休止しよう。そしてそれに掛かった時間を記録しよう。
メールは読むのではなく、書こう。朝パソコンを開いてメール受信するのではなく、今思いついた重要なことをメッセージとして誰かに送ろう。
5:25推敲開始
6:32完了
