コロナ後の世界

大野和基

 

第1章       独裁国家はパンデミックに強いのか

 

・コロナ対応に見る各国のリーダーシップ

 

アメリカのトランプ大統領の対応。

→「インフルエンザのほうがコロナより課題である。」という意味のツイートによりコロナウイルスを軽視していることがわかる。

これにより世界最悪の事態となった。

 

イギリスのボリス・ジョンソン首相の対応。

→「感染のピークを遅らせて50%に抑えることを目指す」(集団免疫)

これにより自身が入院し、事態の深刻さを認める。

 

ブラジルのボルソナロ大統領の対応。

→どうすることもできないと発言。

経済活動の再開を訴えるばかりで感染症防御への意識はない。

 

・独裁国家がパンデミックに強いとは言えない

中国政府は新型コロナウイルスによる肺炎が発生した際に情報を隠蔽。

民主主義においては情報の統率は不可能だが、独裁体制であればいい決断でも悪い決断でも迅速に行うことが出来る。

 

・飛行機によって世界中にウイルスが一気に拡散した

今までの感染症であるペストや黒死病は特定地域での流行だったが飛行機の発達により世界中の人々が移動できるようになり、その結果ウイルスも移動することとなった。

 

 

・人口減少はアドバンテージになる

人口減少により必要となる資源量は減少する。

人口減少による経済力の低下はやり方でどうにでもなる。

→オーストラリア、イスラエル、シンガポール など・・・。

 

 

・問題は高齢化ではなく定年退職システム

高齢者であっても素晴らしい人的資源である。労働人口の幅を増やすことは国にとっても本人にとっても“win win”である。

 

・女性を家庭から解放しよう

日本の国会議員の女性比率は約10%である(世界165位)

北欧諸国では国会議員の女性比率は軒並み40%を超えている。

 

・中国、韓国との関係を改善する

日本はアメリカにより守られている。しかし自国の防衛に関して他国に依存することはいいアイデアではない。戦争の際に協定は破られてきた歴史がある。

かといって日本が軍事力を持つようになれば、韓国や中国は危機感を恐れ何らかの行動に出る恐れがある。より良い方法はフィンランドのロシアに対する姿勢に学ぶことが出来る。

 

第2章       AIで人類はレジリエントになれる *

 

*レジリエント・・・「回復力」「弾性(しなやかさ)」

 

・人類は思ったよりレジリエントではなかった。

コロナのパンデミックが起こった際に、人々は「政府にはきちんとした対策案がある」と思っていた。しかし実際は無能だった。

 

・パンデミックは情報との闘い

パンデミックの状況において、AIに何ができるか?

 

→中国「健康コード」と呼ばれるQRコードアプリを利用した。

中国では飛行機や高速道路のチケットを買うのに身分証明書が必要なので、政府や座席位置に至るまで国民の移動履歴を把握している。もしコロナ患者が出た場合には監視カメラとQRコードを利用して、患者と接触したかどうかを判断し、隔離させることが出来た。

 

→韓国では市街の監視カメラや携帯電話の位置情報、クレジットカードの使用履歴などのビッグdataを活用して、見つけ出した接触者全員にPCR検査を繰り返した、これにより感染を抑えた。

 

これは欧米や日本ではプライバシー保護の観点から嫌がられるが、AIを活用すれば、プライバシー保護と感染対策を両立することが出来る。

 

・ワクチン・新薬開発にも活用可能

今までは動物に薬を投与するなどして臨床実験を行っていたが、将来的にはコンピュータでシミュレーションをすることが出来るようになる。

 

・AIには「凡庸型」と「特化型」がある

囲碁において、人間はもうAIに勝てない。ディープラーニングの活用

 

・データは本当に新しい石油なのか?

→ビッグデータを活用してGAFAなどはサービスを発展してきたが、AIがディープラーニングを活用すれば、データを自分で学習してより良いサービスに代替することが出来るのではないか?

 

→いままで囲碁のAIに対して、データを入力して戦わせていたが、ディープラーニングを搭載したAIに敗北した。

 

・AIによる自動兵器の脅威

iPhoneと同じ値段で、人を策がいできるドローンを購入することができ、実際に殺害事件が起こっている。安全対策する必要がある。

 

・一回の失敗がすべてを破壊する

いままでは新しい技術において、実際に事故が起こってから、対策を行ってより良いものを作るような仕組みとなっていたが、これからは誤って核兵器のボタンを押してしまうと、地球が崩壊するというような、一回の失敗ですべてを破壊するようなテクノロジーが増加していく。

 

・4章 認知バイアスが感染症対策を遅らせた

 

    ・ジャーナリズムの罪

     ジャーナリズムは、どんな日でも、この惑星で起きている最悪のことを選んで報道する。

     →これにより人は危険が起きる確率を客観的な統計やデータよりも、身近なイメージやよく聞くストーリーに基づいて判断するので、見当違いな危険を対策し、必要な対策を怠ってしまう。(利用可能バイアス)

 

     ・いいニュースは報道されない

      極度の貧困は年々改善されて、200年間に90%から10%まで減少しているし、技術の段階的な進歩も毎日のように起こっているのに、大きな変化を求める読者のために段階的なニュースは報道されていない現状。

 

・5章 新型コロナウイルスで強力になったGAFA

 

    ・ビッグテックはますますパワフルに

     パンデミックにより、GAFAをはじめとするビッグテック企業はパワフルになっている。(ビッグテック・・・GAFAMのような世界で最もマーケットシェアの多い企業群)

     →コロナ下でGAFAは株価最高値を更新している。

     

     ・電気・ガス・水と同じ

      インフラと同様に人々の生活に欠かせないものとなった。

 

     ・GAFAは高速道路の料金所

      動画配信会社のストリーミング戦争が起きているが、顧客獲得競争している中で、アマゾンやアップルに手数料を支払っている。動画を見るためにアマゾンのアマゾンファイバースティックやアップストアを通じてダウンロードをしているため。