順風満帆ではなかったけれど、大学を卒業してIT企業に就職し、それなりに30年の人生を生きてきた。
私は「綾」。
今、妊娠7ヶ月目に入っています。
今、産まれてくる女の子の名前は何にしようかと考える日々を過ごし、
こんな、小さな幸せを感じながら生きている。
最近、旦那の帰りが遅くなっている。
電話をしても出てくれないことも増え、
オンナの影がよぎる…。
この嫌な感覚…。
でも、今はあまり、気にしないでおこう。
産まれてくるこの子に影響があってはいけないからと、嫌な予感にそっと布をかける。
深夜2時。
ガチャっとドアが開き、今、旦那が帰宅した様だ。
「おかえり!」
「なんだ!まだ、起きてたの?早く寝ないと子供によくないんじゃない?俺、疲れてるからもう寝るから。」
「うん。おやすみ…。」
ほのかに香る甘い香水の匂いと共にゆっくりとベッドに横たわる彼。
「ね。まぁくん…?」
「ごめん。疲れてるから」
(ね。まぁくん、話したいことがたくさんあるんだよ。
今日ね、公園に行って妊婦さんと友達になったんだよ!
彼女、妊娠8ヶ月だって言ってた。
おすすめの子供服のショップ教えて貰ったから、今度、まぁくんと一緒に行きたいの。)
たったこれだけのことも聞いてもくれないの?
そんなに、その子って可愛いい?
前みたいに、綾〜って言いながら、あの優しい笑顔で私の頭を撫でてくれないの?
ねぇ、まぁくん…。
私たち、もうだめなのかなぁ…?
今日も一粒の涙が落ちた。
