そもそも、一生犬を飼うことはないと思っていました。
というか、生活の中に犬という要素が入る隙間はないと思ってました。考えたこともなかったし。
それがなぜ保護犬を引き取ろうと思ったのか…
まず娘の話から始めます。
娘は演劇部です。
秋にあるコンクールで、今年は「殺処分ゼロ」をテーマにすることになりました。
シナリオも完全オリジナル、外部指導員の方に書いていただいて、娘たちは役作りのために保健所で行われていた譲渡会を集団で見学に行きました。
その劇には4匹の犬が出てきます。
・飼い主の死亡により保護された犬
・野良(現在収容されている、もとは捨て犬)
・おしりにハゲがあることによって捨てられた愛玩犬
・繁殖犬(傷あり、歩くこともできない)
そして、2人の人間が出てきます。
・預かり施設の代表
・新人のボランティアさん
新人ボランティアさんは入った当初にシャンプーをしてあげたこの4匹のことが忘れられず、ずっとかわいがって行きたいと思っています。
施設長は、保健所から犬を引き取ってきて引き取り先を探し、本当の家族を作ってあげるために奔走しています。
そして、この4匹の犬がガス室送りになる日が近づいてきました。
「どうしてあの4匹を助けられないんですか」とくって掛かるボランティアさんに、施設長は答えます。
「私の仕事は1匹でも多くの子を引き取って、1匹でも多く救い出すこと。あの子たちに引き取り手は来ないわ。だから私は引き取らない。引き取り手が来そうな子を救い出して、1匹でも多くかわいそうな子を救うの」と。
どっちも犬のことを考えているのは同じです。
「私がずっと世話をします!」
「犬は長生きよ。引き取り手のない子を引き取れば、この施設は満杯になる。そうしたら、救えるかもしれない子だって引き取れなくなるのよ!」
この劇のために、保護犬というものを学ぶべく、演劇部は全員で譲渡会へ行ったのです。
娘の役は、施設長の役でした。犬を抱いて写真を撮るシーンのために、小型犬を抱かせていただいたそうです。
その小型犬が、今回引き取らせていただく子です。
劇は大成功でした。県大会の予選でしたが、この演劇部は県大会へ行くことはありませんでした。
なんと、講評でシナリオに物言いがついたのです。
「やりすぎだ」と。
私は、その劇を見ていて、よくぞこの劇に取り組ませてくれた!と先生に感謝しました。
中学生たちは練習を通してとても精神的に成長しました。
本気で「ペットの命」を考えたのではないかと思います。
そして娘が「保護犬を引き取りたい」と言い始めたのです。
犬は長生きすること。
保護犬はしつけをされていないこと。
精神的に不安定な子もいること。
病気を持っている子もいること。
責任持つってどういうことか。
本気で私たちはその犬に責任を持てるのか?
「とりあえず」はありません。
一度ひどい目にあっている犬だからこそ、うちで幸せに余生を送ってくれなくては困ります。
それには家族全員に犬の余生を引き受ける覚悟があってほしいと思いました。
数回家族会議を繰り返し、「飼おう」ということになりました。
そして、いろいろな条件に我が家が合致しているかを今度は考えていくことになります。