旅行とは、選択の分かれ道でいつも未知の選択をすることの繰り返しでありながら
いくつの悪運と幸運の中で立ち向かって戦うことでもあります。
たまには賢明な判断が悪運に出会って、最悪の結果となることもあるし、
下手くそな判断が幸運に出会って、最高の結果となることもある、
この一寸先も見えないということが旅行の楽しさではないでしょうかね。
日が登って、ホテルで朝飯を食べて浅虫にある温泉旅館に向かいました。
荷物だけ預けて、すぐ出て、旅程を始めるつもりでした。
これが、僕の最悪の判断でした。
普通に東京とかの都ではこんなミスをしても、あまりリスクが大きくない線でなんとか取り返すことができますが
青森のような田舎では、一度の判断ミスが取り返せない結果を生み出すこともあります。
青森では、その温泉旅館までは電車で20分ぐらいかかりますが、僕には不思議にもその旅程がめっちゃ長く感じられました。
50分ぐらいはかかると。
だから電車の中で一昨日の旅行記を書きました。
旅行記を書くことに夢中になって、今、自分の位置すら気にしないままで、
ある瞬間、自覚ができたのです。
「そういえばここはどこだ?」
地図を見たら、温泉旅館のある駅はとっくに過ぎて、かなり遠くまで来てしまったのです。

 


ああ、そのまま八戸まで行くところでした。
とりあえず遠くまで来たのだから、急に降りで、逆の方向で来る電車を確認してみたんですが
なんと、1時間半ぐらいを待たなければなわないって...
日本の田舎の駅が持ってる、その得意の風景には穏やかさを感じますが
それは本当に浮遊しながら余裕持って旅行する人にふさわしいもので
急いでる人に、そんな地獄は他にないです。
旅館に荷物を預けて行くことにした太宰治の斜陽館に、営業時間内にたどり着けるのか
ちょっと調べてみたら、午後5時に終るそこに、3時40分ぐらいでたどり着けるという
ゴットグーグル様の知らせがありました。
「そうだ。このまま荷物を預けて急げば十分、斜陽館までたどり着ける。」
ちなみに、それを調べて見た時の時間は11ぐらいでした。

 


結局逆の方向の電車に乗って旅館にちゃんと着いて、チェックインしました。
そして、そこから直ぐ出て昼飯を食べました。
浅虫の有名な飯屋なんですがマグロの赤身がたっぷり入ってる丼が有名です。
前には2号店でウニとマグロのミックス丼を食べました。
1号店でマグロだけ注文して食べましたが、思ったことよりは.....
酒と一緒ならいいかも。


その後には温泉駅から青森まで行ってそこからまた直ぐ電車に乗って弘前まで行きました。
ゴットグーグルマップさんがそう案内したから。
だから弘前まで着いたら、あれ?! 問題が発生したようです。
営業時間内では行ける方法がないと言うのです。
実は青森駅から弘前へ行く快速列車じゃなくて、普通列車に乗ったら川部で降りて斜陽館まで行くことができたはずだったんですが
グーグルマップ様の案内に従って、最悪の結果に会ったのです。
弘前で、そうメンタルが崩し始めたのです。
一味として来てる従弟にも怒ってしまいました。
じめじめ... 気持ち悪く降りてる雨と強い風が僕をもっと怒らせたのです。
ああ、毎日、ナーバスで周りの人に余計に怒ってる人達をそれほど軽蔑してきたのに、僕もまたそんな人達と同じことをやったのです。
でも、それもそうです。明日は青森から函館に行くから、もうこれ以上時間はないし
青森に来た一番の理由は太宰治だったから。
これはだから、僕にとってはフランスのコース料理をまともに注文したのに、アペタイザーばっかり食べてメインの料理は食べられなかったのと同じことです。とにかく、そんなもんです。
たくさんの失笑が繰り返してる中で、本当に、現実が、仕方ないからすっきり、諦めました。
ごめんなさい。太宰治さん、今回の旅行では行けなかったのです。
次に、東京にある墓地で会うことにしましょう。

 


でも、そうすっきり諦めて青森に帰ってきたら、言葉にはできないほどの解放感が感じられました。
僕はまた、従弟ちゃんと共に、カラオケで3時間半ぐらい、一生懸命歌いました。
ああ、その時に来てこそ、僕が、自分がなんか自由な魂となった気がしました。
そして晩飯を食べようとしましたが、やっぱり従弟さんは海鮮に飽きて、肉を食べることにしました。

 


近いところに焼き肉屋がありましたが、なんと店の名前が南大門だって。
少し悩みましたがスル。やっぱり日本に来てまで韓国料理を食べるのは言語道断。
ちょっと探してみたらタツヤという焼き肉屋があって入って座りました。
一番好きなたち席!
日本の焼き肉屋はたち席でも行けるってことが魅力です。
そして、その焼き肉屋のバイト生がめっちゃ可愛い... 従弟のやつも認めました。
ああ、話しかけたい。という欲望が僕に纏り始めました。


ところで、肉を、少し食べてる途中、店の入り口にあるハフェタルが2個、見えたのです。
「あらら、韓国料理店を避けてここに来たのに、ここも韓国料理店だったと?!」
だから僕は生ビールをもらって、そのバイト生に聞きました。
「ここって韓国式の焼き肉屋だったんですか?」
そう思った理由を言ったら、その人はよく分からないから聞いてみると言いました。
でも横の席の日本人二人が僕に話をかけたのです。
おっさん一人で、僕の姉さんと同じ年齢と見える女の人ですた。
おっさんは埼玉出身で旅行に来ているし、女の人は青森の人です。
いろいろと話をしたら、いつの間にかそのバイト生さんもたまたま突っ込んできたし、
その人が、韓国語も勉強する人でした。
基礎のレベルだったけど喋る時の発音がなかなか良かったです。
そして高校生だと...
ごめんなさい。


そんな面白い状況でおっさんは僕達に肉をおごってくれました。
ありがたい気持ちになって僕もテンションが上がってビールを注文したし、どんどん盛り上がってきました。
でも、その二人がもう帰るって言ってるけど
おっさんがなんと!僕達が食べた分まで一緒に会計をしてくれるのでした。
今まで日本のいろんなところを巡りながら居酒屋も巡ってきた僕なんですが、こんなのは初めてです。
埼玉ナンバーワン...
とにかく、その二人が家に帰る前に、従弟が一世一代の勇気を出して一緒に写真を頼んで、そうやって写真を撮って
ラインとインスタも交換して別れました。

そして僕もまた、ビールを何杯もっと飲んで、そのバイト生さんとの写真も撮って帰りました。

 


いくつの偶然が重なって、その偶然の糸を引っ張る時にこそ、人の縁というのができるもんじゃないでしょうかね。 
旅行中にできた小さな縁でも、僕はそれがとても楽しかったです。
あえておごってもらえなかったとしても、人生の記憶に残る1つの場面だったのです。
そして僕はそんな旅行を追い求める人です。
すれ違ういくつの偶然の中で、それを掴んで縁というのを作るのを。
斜陽館にちゃんと行ったら、多分そこで晩飯を食べてそのまま、旅館に帰ったのでしょう。
昼飯にマグロ丼を飽きれるほど食べなかったら、晩飯をまた海鮮で決めたかも知れません。
晩飯のメニューを決める時に、南大門という所に入ったら、そのまま終わったかも知れません。
その焼き肉屋にハフェタル(それは店長さんが韓国旅行に行って来て持ってきたお土産です。)がなかったら話もかけられず終わったかも知れません。
そのいくつの偶然が僕に小さいけどとても大切な縁を作ってくれました。
斜陽館に行けなくて絶望している僕に、太宰治先生がプレゼントをくれたのでしょうか
彼も酒が好きな人なんだから
こうして思い出は重なって、人生はもっと眩しく光り始めます。