あの人のことが

大嫌いだと思っていた。

 

 

大切にしてくれなかった。

話を聞いてくれなかった。

そうだねって言ってくれなかった。

やさしい言葉をかけてくれなかった。

味方になってくれなかった。

応援するよって言ってくれなかった。

あたたかく抱きしめてくれなかった。

 

 

だから

大嫌いだと思っていた。

 

 

 

してほしいことを

してもらえない

さみしさ。

 

いつまでたっても

癒えない

心の傷。

 

どれだけ待っても

叶わないことへの

苛立ち。

 

 

私に

こんなにさみしい思いをさせる

あいつのことが

私は

大嫌いだ。

 

 

一人で

生きていこうと

決めた。

 

 

***

 

 

ある時、

私は「さみしい」を

封印した。

 

「さみしい」は

なんとも威力が

すさまじい。

 

ひとたび「さみしい」に

取り込まれると

底なし沼に沈んでいきそう。

 

「さみしい」は

見ないほうが身のためだ。

 

 

そう思って

「さみしい」を封印した。

 

 

***

 

 

今の私は

もうさみしくない。

 

大嫌いなあいつとは

違う人生を歩んでいる。

 

友達もいるし

仕事もある。

やりたいこともあるし

いきたいところもある。

 

今の私は

前向きに生きている。

 

 

***

 

 

はずなのに。

 

 

「さみしい」は

ときおり

私のもとへ

ひっそりと

せまってくる。

 

 

私は

気づかないフリを

するために

 

あわてて

別のものを

気にし始める。

 

 

スナック菓子をやたらと

食べてみたり。

 

なんとなくテレビをつけて

ワイドショーにああだこうだと

言ってみたくなったり。

 

セミナーや習い事で

休日の予定をうめてみたり。

 

洋服選びに

夢中になってみたり。

 

 

たとえば

そんなふうに

そっと「さみしい」から

目をそらす。

 

 

「さみしい」が

迫ってきてるなんて

まるで気づいていないフリをして

目をそらす。

 

そうして

忙しい毎日を

楽しんでいると

思い込む。

 

 

***

 

 

さあ

そろそろ

「さみしい」の

封印をとこう。

 

 

そっと迫ってくる

「さみしい」を

目をそらさずに

キャッチしてみよう。

 

 

勇気を出して

受け止めて

感じて

味わってみよう。

 

 

こわいかもしれない。

 

涙が出るかもしれない。

 

ひとりぼっちを

感じるかもしれない。

 

ずっとこのままのように

絶望するかもしれない。

 

 

でも。

 

大丈夫。

 

それでも

大丈夫。

 

今の私なら

ちゃんと

受け止められる。

 

 

***

 

 

「さみしい」の封印を

といたとき、

 

その気持ちと一緒に

思い出すのは

大嫌いだった

あの人の記憶。

 

 

「さみしい」の封印を

といたとき、

 

その気持ちと一緒に

あふれ出すのは

大嫌いだった

あの人への

「大好き」の記憶。

 

 

最初の

最初は。

 

 

大好き

 

だった。

 

 

大好きだから

さみしいと感じた。

 

 

大切にしてほしい。

話を聞いてほしい。

そうだねって言ってほしい。

やさしい言葉をかけてほしい。

味方になってほしい。

応援するよって言ってほしい。

あたたかく抱きしめてほしい。

 

大好きだから

たくさんの「してほしい」を

感じた。

 

 

もっともっと「してほしい」と

願った。

 

 

だけど

それは叶わず、

 

叶わない苦しみを

遠ざけてしまいたくて

 

「さみしい」を

なかったことにした。

 

 

さみしくない

ことにした。

 

 

大丈夫、という

ことにした。

 

 

大好きじゃない、

という

ことにした。

 

 

「してほしい」

と思った願いは

 

「してくれなかった」

という憎しみに変えた。

 

 

そうして

大嫌いになった。

 

 

大嫌いの記憶

だけが残った。

 

 

そうして

「さみしい」は

完全に

封印したつもりだった。

 

 

***

 

 

「さみしい」は

そこに

「大好き」があった

証拠。

 

「さみしい」は

叶わなかった

片思いの記憶。

 

 

さあ

「さみしい」の

封印をとこう。

 

抑え込んだ

「大好き」を

あふれ出そう。

 

 

私の中には

たくさんの愛が

眠っている。

 

 

ずっとずっと

大嫌いの気持ちが

自分の中で渦巻いて

苦しいのだと思っていたけど

 

 

本当は

出たくても

出られない

大好き、が

苦しくさせていたのだ。

 

「もうそろそろ出してよ!」と

叫んでいたのだ。

 

 

ただの

大好き、で

いいんだよ。

 

ただの

片思いで

いいんだよ。

 

 

私のなかに

大好き、が

ある。

 

 

その気持ちを

もう堂々と

感じていいんだよ。

 

 

大好き

という

たくさんの人を

幸せにする

尊いエネルギーが

私の中にも

たくさんあった。

 

 

もう

そろそろ

あふれ出そう。

 

 

もっともっと

自然に

笑えるように

なるはずだから。

 

 

 

おわりうさぎ

 

 


 

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“ひらく“を伝える。

心屋カウンセラーのうさこ、こと、古庄由佳でした。