3連勝で4位だよ | ライター海江田の 『 シラフでは書けません。 』

3連勝で4位だよ

勝ったよ。1‐0をみっつ重ねて、3連勝だ。
J2第26節、東京ヴェルディ vs 京都サンガF.C.@味の素スタジアム。
全体的には、両チームの積み重ねの差が如実に表れたといったところか。
京都は監督が交代したばかりで、要所を整理しきれていない印象だった。

ゲームは後半になって動いた。
57分、安在和樹が再三狙っていた裏へのロングパスに、高木大輔が走る。
相手と競り合ってPKをゲットし、これを自ら蹴って成功させた。

「(右上の)コースはいつ決めたのかな……。蹴るちょっと前っすかね。おれ、GKと目が合うのはいやなんで、後ろ向きにボールをセットするんですよ。それで助走の前にチラッと前を見て決める」(高木大)

なるほどね、基本自分本位で、一瞬の駆け引きで勝負するタイプか。
一本気の性格からもそっちのほうが向いてそうだ。

後半15分頃かな。
自陣深いところから澤井直人が高木大に出したロングスルーパスには、おおっと声が出たね。
右足のアウトサイド、ひざ下の振り鋭く、スパーンッと蹴った。
「ちょっとアウトにかかりすぎたんすよ。もっと精度を上げないと」(澤井)
いやー、いいもん見せてもらった。
アウトサイドキックの名手だった元監督の川勝良一さんの評価を仰ぎたいものだ。

3連勝で、4位に浮上。
大木暁は初出場から2試合つづけて勝利のピッチに立った。
こういう状況で出場機会に恵まれる(彼自身も貢献しているとはいえ)というのは、ほんとうに得がたいことだ。
持って生まれた運みたいなもので、自分ではコントロールしようがない。

「今日はプロと大学の違いをまざまざと思い知らされました。スピード、球際、ポジショニング、すべてのレベルが一段上。後半になって多少慣れて対応できるようになりましたが、周りの選手にどれほど助けられたことか」

と、大木は殊勝なコメントである。
マッチアップした同い年の駒井善成には、危ない場面をつくられた。
宮吉拓実、伊藤優汰も同期で、この世代の京都はタレントが揃っている。

前半、惜しいクロスはあった。高さが足りず、ディフェンダーにクリアされた。
「あれはファーサイドを狙ったキック。アシストのチャンスだと思うと、急にあがっちゃうんすよねえ。特にドフリーだと」

遡ること3日前――。
冨樫監督の囲み取材で(といってもレポーターの高木聖佳女史と僕のふたりだったが)、大木大胆起用の裏話を聞いた。

前節、ロアッソ熊本戦の前々日、冨樫監督は大木を起用するプランをコーチ陣に明かした。
コーチのひとりは言ったそうだ。「トガ、考え直せ」。
「わかった。ひと晩考えてみる」と持ち帰った冨樫監督。
翌日、考えが変わらないことを話した。
「おれの首も一緒に差し出すから、大木を使わせてくれ」との殺し文句を付けて。

僕と高木女史はまじめに聞いているのがばかばかしくなっちゃって、大笑いである。
なんだその大げさな話。コーチ会議はコントのノリかよ。

で、そのあと大木にまんま聞かせたら、ぽうっとした顔してやんの。
素直に感激しちゃって、このへんの素朴さは彼のいいところである。
そしてポツリ。
「冨樫さん、危ない橋を渡りましたね」
無茶しやがって、と言わんばかりの口ぶりである。
あのね、自分を危ない橋にたとえるもンじゃないよ。
とぼけたコメントは彼の味である。

「結果を出したい。評価や信用が全然足りないことは誰よりも自分がわかっています。明らかな結果を出さなければ試合で使われない」
このように立ち位置はきちんと把握できている。
勘どころの良さをちょいちょい発揮しているが、客観的に見てすでに通算50試合以上出ている安西幸輝、ベテランの田村直也との差はまだだいぶあるなあ。
だが、こうした経験を重ね、トレーニングに落とし込んでいけば、シーズン終盤にはぐっと迫っているかもしれない。


●追記
なんかね、8月21日に家族向けのサッカーイベントが東京であるそうだよ。
「第3回キッズスポーツフェスタ」
元日テレ・ベレーザの小林弥生さんも講師として参加。
ご興味のある方はぜひ。