家の2階の部屋で、私は実父と婚約者の父から何かを責め立てられている。

 いつも父はこうだ。

 私のことを傷付けて、こちらの言い分をちっとも聞いてはくれない。

 

 

 

 「私がどんな思いや考えでその行動をとったか、聞く耳をもってくれないんだね。

それによって、事実は全然違うかもしれないのに」

 

 そう言って恋人に目配せする。

 

 彼は、「すべて分かってるよ」とでも言いたげな優しい目をしてこちらを見ている。

 私は泣きながら部屋を出る。

 

 

 スロープを下って、中二階のような場所へ出る。

 

 クリスマスシーズンだからか、階下にクリスマスケーキの見本が見える。

 

 一人100個販売がノルマなんて、どうかしている。

 ぼーっと見ているが、ちっとも美味しそうに見えない。とりあえずそれらしく作られただけの、高価なケーキだ。

 

 

 ここから私が飛び降りたら、サンプルがひとつ破壊されるなぁ。

 想像すると少し笑えてくる。

 

 もうどうでもいいや、と力なく思う。