体重はあと2キロ位。
いつもと変わらぬ試合前。
わくわく感と行き場のない不安が試合中のイメージに拍車をかける。
モチベーション、戦略、コンディション、組み合わせ、、、
その時になってみないとわからないはずの問いに懸命に答えを求めている。
あれこれ仮定してそれなりの答えは出せても
いざ試合が始まって、相手と向き合い握手をして構えてみないと見えてこないそれ。
それまで緻密に練ったプランはまるで頭にはない。
しかし、その時にそこ場にいる自分を作っているのは
紛れもなくこれまでの自分で今の自分でしかない。
今の過ごし方が迫り来る、その時の結果を左右する。
決して落ち着いているとは言えない心境で今を過ごす。
指先が冷たい。
普段から若干末端冷え性の私である。
この感じは試合前の冷たい指先と似ている。
その指の温度は私が末端冷え性である事の他に
試合前になると恐怖心によるものがプラスされているような気がする。
心の調子が身体にも影響を及ぼす良い例である。
恐怖心ほど、心も身体も研ぎ澄ましてくれるものは他にない。
恐怖心とどう付き合うか。
これもまた、試合前になると顔を出す問いのひとつである。
非日常的ではあるが、ある種のルーティーンとも呼べる自問自答を繰り返しながら試合に向けての準備が進んでいく。
冷たい雨を照らす光。
その一閃に小さく強い覚悟をみた。