やっぱり不幸なんだろう。わたしといることが。

 冷たいシーツに触れて考える。眠気と、薬を飲んだ後の朦朧とした頭で考える。

 わたし以外に、あなたを幸福にしてくれる人なんて沢山いて、それはそれはこの世界に山ほどいて、そして、その幸福はとても生ぬるい。まるで正常位のように。

 わたし以上にあなたを煩わせる人は他にはいない。

 だからわたしは、わたしを選ばせた。あなたを不幸にさせた底で、幸福だと思わせることができるのは、わたしだけ。

 わたしたちは一生を賭して、そうすることを決めたから、結婚した。不幸の底でなら、何よりも幸せになれると思う。


 あなたの淡白な思考を、わたしは知らない。

 寝息を聞いて、わたしを恐れているこを感じ取る。

 寝息を聞いて、あなたの隣にいるのは本当は誰でもいいということを悟る。誰かがいてもいなくても、不幸でも幸福でもない冷たいひと。眠りが進む毎に、体温が落ちてくように冷めている。

 その肩のかすかな動きに、薬漬けのわたしは生命を感じる。

 あなたは生きている。本当は幸せにも不幸にも興味のないひと。理論のないひと。ただ、生きている、正しい姿のひと。

 わたしも生きている。身体は這いつくばって、意識はふわふわと、ただ、生きている。できる限りで、平常の型になぞらえて。


 わたしたちは結婚した。一生一緒の計画を、二人で立てたの。

 わたしがあなたを地獄に落としてあげたいよ。それは一瞬の輝き。本当の幸福というものを、教えて、見せて、与えてあげたい。


 結婚式で、誓いましょう。

 覚悟は、わたしのほうが持たない。ふわふわした意識だから。


 以上、マイノリティ・リポート也。