FR-D7 ステアリングジオメトリーを考えてみる。最大切れ角だけを見ていませんか?
こんにちは、Emaです。
最近のRWDドリフトでは、非常に大きなステアリング切れ角を持たせるセットアップが多く、フロントのセットアップでも「最大で何度切れるか」を気にする方が多いと思います。
もちろん、大きな切れ角を確保することはRWDドリフトでは重要です。
しかし、改めて感じたのが、
「最大切れ角の状態だけを見ていても、ステアリングジオメトリーの状態は十分には分からない」ということです。
実際の走行中、ステアリングが常に最大まで切れているわけではありません。
コーナーへの進入、振り出し、切り返し、ドリフト中のライン修正など、ステアリングは常に少しずつ動いています。
そのため、最大切れ角だけではなく、
「ステアリングを切り始めてから、普段走行で使っている切れ角まで、左右のタイヤがどのように動いているのか」
を見ることも重要だと思います。
ナックルを変更すると、ステアリングの動きも変わる
FR-D7では、ReveD製樹脂ナックルを使用した状態をひとつの基準として推奨セットアップとしています。
ところが、キングピンアングルの大きいナックルに変更し、さらにフロントキャンバーも大きくしていくと、ステアリングを切っていく途中のタイヤの動きに変化が出てきました。
特に気になったのが、
ステアリングを切っていく途中で、外側のタイヤが内側のタイヤの切れ角を追い越してしまう
ような状態です。
一般的なステアリングジオメトリーでは、左右のタイヤは同じ角度で動くわけではありません。
内側と外側では旋回半径が違うため、それぞれに適した切れ角の関係があります。これがいわゆるアッカーマンです。
ところが、ナックルのキングピンアングルやキャンバーなどを変更すると、ナックル自体の動きも変わります。
つまり、
ナックルを変更したのに、ワイパー側の設定を標準のままにしておけば、左右のタイヤの切れ方の関係も変わってしまう
ということです。
12mmのセンターリンクから11mmへ
ということで今回、センターリンクのスペーサーを標準の12mmから11mmへ変更してみました。
すると、それまで気になっていたステアリングを切り始めた時の外側タイヤの切れ方が変わり、追い越さないように付けていたイニシャルトーアウトを減らしても、外側タイヤが内側タイヤを追い越すような動きがなくなりました。
「外側の切れ方が強いなら、トーアウトを調整すればいいのでは?」とも考えられます。
しかし、それだけではなく、ステアリングリンク側のジオメトリーそのものを変更することで、ステアリングを切っていく途中の左右タイヤの動きを変えたわけです。
今回の組み合わせでは、12mmより11mmの方が自然な動きになりました。
もちろん、これは「FR-D7は必ず11mmが正解」という話ではありません。
使用するナックルやキングピンアングル、キャンバー、キャスターなどが変われば、必要な調整も変わります。
今回の車両では、
ナックルを変更した結果、12mmの状態ではステアリングの動きに合わなくなり、11mmに変更することでバランスが取れた
ということです。
最大切れ角だけでは分からない
今回、試してもらいたいと思ったのがここです。
ステアリングを最大まで切って、「内側は○○度、外側は○○度」と測ることはもちろん大切です。
ただ、そこだけを見てしまうと、途中のステアリング角度で何が起きているのかが分かりません。
例えば、
0° → 10° → 20° → 30° → 40° → 最大切れ角
とステアリングを徐々に切っていった時に、それぞれの位置で左右のタイヤがどのような角度になっているのかを見る。
すると、最大切れ角では問題なく見えていても、
20~30°付近で外側タイヤの切れ方が強くなっている
というようなことが分かる場合があります。
逆に、最大切れ角では多少左右の角度差があっても、実際によく使っている切れ角ではタイヤが自然に動いている、という場合もあります。
実際の走行で使っているところが重要
ラジドリの場合、最大切れ角は非常に目立つので、どうしてもそこに注目しがちです。
しかし実際の走行では、ステアリングを最大まで切った状態をずっと維持しているわけではありません。
振り出した直後。
ドリフトアングルを合わせているところ。
高速コーナーでラインを調整しているところ。
切り返しの途中。
こういった場面では、最大切れ角よりもその手前の切れ角を使っている時間の方が長いこともあります。
だからこそ、
「最大で何度切れるか」だけではなく、
「普段使っている切れ角で左右のタイヤがどう動いているか」
を見ることが大切だと思います。
アッカーマンは固定された一つの角度ではなく、ステアリング操作に対して左右のタイヤの角度差が変化していくものです。いわゆるDynamic Toeとして、ステアリングストローク全体で考えることができます。
トーアウトで合わせる前に、動きを確認する
今回は、
「外側タイヤの切れ方が強い
→ トーアウトを増やして合わせる」
という方法だけではなく、
「そもそもステアリングを切っていく過程で、なぜ外側が強く切れているのか?」
を確認しました。
そしてセンターリンクを12mmから11mmへ変更することで、初期のトーアウトを減らしても自然な左右の切れ方にすることができました。
フロントに大きなキャンバーを付けている場合、タイヤの向きや接地状態も変化します。
そのため、単純に最大切れ角だけを追いかけるのではなく、
ナックル
↓
キングピンアングル
↓
キャンバー・キャスター
↓
ステアリングワイパー
↓
センターリンク
↓
トー
↓
実際のステアリング角度の変化
というように、全体の動きを見ながらセットアップしていく必要があります。
ナックルを変更すると、同じステアリングワイパーの設定でも左右のタイヤの動きが変わる。
そして、
最大切れ角だけを見てアッカーマンを判断するのではなく、ステアリングを切り始めてから、実際の走行でよく使う切れ角までの動きを確認することが重要。
ということです。
今回のFR-D7では、12mm → 11mm
という小さな変更でしたが、これによって初期のトーアウトを減らすことができ、ステアリングを切っていった時の外側タイヤの「追い越し」も収まりました。
まだ実走行での確認は続けていますが、
「最大切れ角をどうするか」ではなく、
「そこまでタイヤがどう動いていくか」
を見ることの重要性を改めて感じました。
FR-D7に限らず、ナックルやフロント周りのパーツを変更した時には、最大切れ角だけではなく、普段の走行でよく使っているステアリング角度で左右のタイヤがどのように動いているかも、一度確認してみると面白いと思います。
という事で、基準ナックル(ReveD樹脂)から他のナックルに変更すると大体途中経過の外切れが強くなります。
イニシャルのトーアウトで追い越さないようにする事も出来ますが、結構なトーアウトになってしまうので、センターリンク部(画像はターンバックルですが)のスペーサーを1mm短くしました。(12mm→11mm)参考にしてみて下さい。




