ある大学教授の方
原子力や放射線に詳しい方で、今は政府の発表やそこで公表されているデータについてまったく信頼していない立場をとっておられる方です。
その方のブログを読んだのですが、
絶望的です。
私個人としては、この方の意見や考え方の方が正しく本質的で、子どもの健康を守る観点からすると
この方の言うとおりにしておいた方が良いとは思います。
しかし、もし言うとおりにしたとすると、
まず、放射性物質に汚染された地域内から汚染されていない地域への物、人などの流出は禁止。
汚染された地域で生産された農産物、工業製品も同様に持ち出し禁止。
陸上に限らず、沿岸の航行や沿岸での漁業も禁止で、当然、水産物も市場へ持ち出すことは禁止。
大げさに言えば、汚染マップで汚染区域とされている土地は住むことも、農業も、工場での生産も禁止で、通行もできない。
確かに、そこまで厳密に行えば安全、安心です。
しかし、現実としてそれができない。
原子力を使い始めた頃から、もはや、ある程度の放射能汚染は覚悟しておかなければならなかったのだと思います。
何しろ、原発事故が発生したときに、その収束方法、処理方法が無いのですから。
一度人間の制御できる範囲を超えてしまったら、もう人間の手ではどうにもできないもの。
そういうものだとわかっていながら人間は原子力爆弾や原子力発電を使い始めてしまったのだから。
ブログを書かれている大学教授の方も原子力安全委員会のメンバーでした。
なぜ、その時に原発事故の危険性を指摘し、事故が発生しないようにできなかったのか、
そして、事故が発生したときにどうなるのかがわかっていたのなら、原子力を使うことへの問題提起はできなかったのだろうか。
理想と現実がこれほどまでに離れてしまう前にどうにかできていれば・・・
理想は、
放射性物質に汚染された地域での人の生活は禁止し、これ以上の被ばくを防ぐ。
現実は、
これほどの人口が汚染されていない土地へ移住するなど不可能で、ある程度の被ばくはやむを得ない。
被災地のがれき受け入れについても、
理想は、
多少でも汚染されているのであればその場から移動させない。
現実は、
がれきを処理しなければ被災地の人たちが生活できない。
悲観的な言い方かもしれませんが、
人間が原子力というものを使い始めた時点で、こうなることは想像でき、実際になったら諦めるしかない。
そういう前提でこれまでやってきたと考えるしかないのでは。
もう、ある程度の被ばくを受け入れつつ生活するしかないのです。現実は
そもそも、人間が制御しきれないものを扱ったことが間違いだったのです。
原子力発電で出たごみの処理方法すら確立していないのに、原子力発電を推進したことに驚きです。
20世紀から21世紀にかけての人間の最大の過ちは原子力を実用化したことです。