世界トップの経済大国を経験したにもかかわらず


なぜこの国にはゆとりがないのだろう。




世界トップのトヨタに勤務しているからといって、世界トップレベルの給料がもらえるわけではないし、


世界一優遇された勤務環境であるとも言えない。


企業はさらなる拡大を目指すため、従業員の給料はなるべくそのままに生産量を増やす。


その拡大にどれほどの意味があるのでしょう。


拡大し資本が増強されれば、より優れた製品を開発することができる。


はずですが、


巨大化した企業が生産するものにどれほどの魅力があるでしょう。


まぁ、人それぞれ好みや考えが違いますので


自動車なんて走ればいいんだと考える人、自動車は安全性が一番だと考える人、


自動車は走りと燃費が重要なんだと考える人、それぞれに求める魅力も違ってくるでしょう。



自動車好き、ドライブ好き、旅行好きの私からすると、巨大化したトヨタ、フォルクスワーゲンに魅力ある車はありません。


万人受けする程度のデザインにそれほど驚かない技術を盛り込んだ車。


あれほどの大企業なのに、あれほど車種があるのに、あれほど資本があるはずなのに、


インパクトのある製品がない・・・



あるテレビ番組で、剪定ばさみを品質の良い鋼から手打ちで作っている個人経営の店が紹介されていました。


今時、鋼を熱して手で打って作っているのです。


ホームセンターなどで剪定ばさみが数多く売られていますが、それらは工場で大量生産されたもの。


それだけ大量生産され、大量にあちこちで販売されているのに、その個人商店は問題なく営業しているのです。


何が違うのか


理念から違うのでしょう。


切れ味、使う人に合わせた製造、手入れをすれば何十年も使える丈夫さ、そのことを考えて手打ちで作っている。


また、その理念を理解した人が買いに来る。


この繋がりは強固なものだと思います。


人の考え、理念というものはそうそう簡単には変えられないもの。


その理念のもとに製造され、その理念を理解し製品を購入する。


ホームセンターで販売されている剪定ばさみには作り出せない関係です。



小さな個人商店でも、そういった強固な繋がりによって何十年、何百年と経営が成り立つ。


どこかで手を抜いて生産量を増やして拡大しようとは思わない。


そんな経営、人生でも良いのではないかと思っています。



私は以前から「攻め続けない企業はつぶれる」と言ってきましたが、


拡大し続けること=攻め続けること ではありません。


規模はそのままにより良い製品を作ることも攻め続けることになるのです。



生き残るためなのか、拡大を目指す自動車メーカーたちも、本当に拡大が唯一の生き残る手立てなのか考える必要があるのではと思います。


特に、独自の技術を持っているメーカーは拡大以外の手立てを考えてみてはいかがでしょうか。


「大量に生産して大量に売らなければ経営が成り立たない」よりも、


「少量をしっかりと生産して、それが確実に売れて経営が成り立つ」という方がなんか格好良いでしょ?