北斎とルノアールの「傘」

 

 同じ「傘」とはいえ、北斎とルノアールの「雨傘」の作品を

 比べてみると、その背景が全く違っていることに気づかれる

 のではないでしょうか。

 

 

         (北斎の「傘」の模写)

 

  

        (ルノアールの原画「雨傘」)

 

  日本はよく雨が降る土地柄なので、いつでも手軽に

  傘をさす習慣があります。北斎の作品は恐らく武士

  階級の人々が、誘い合ってどこかへ出かける場面で、

  お喋りに夢中になっているのではないか思われます。

  

  一方、ヨーロッパではそんな習慣はなく、めったに

  傘をささないそうですが、現に全面にいる若い女性は

  傘をさしていないことが分かります。

 

  その理由は、傘が実用的な用途ではなく、装飾品と

  しての役目があるのと、一端傘を開いてしまうと元

  通りに折りたためない人が多いため、多少の雨では

  滅多に傘を開かないようです。

 

  その意味では、ルノアールの「雨傘」は多くの人々

  (恐らく金持ち階級)が、一斉に傘をさしている光景

  で、非常に珍しい作品だといえます。

  

  穴水(2022.07.08)